<楽天6-5ロッテ>◇20日◇Kスタ宮城

 楽天が、8回に4点を奪う逆転勝ちで、球団最多勝に並ぶ67勝目を挙げた。クライマックスシリーズ(CS)進出マジックは1つ減って「12」となり、2位ソフトバンクとのゲーム差も2差に急接近。野村克也監督(74)は2位の「チャンスはある」と本拠地CS開催も夢ではなくなった。ロッテは球団創設の05年3月27日の開幕2戦目に0-26と大差完封負けのプロ野球タイ記録という因縁深い相手だったが、初めてシーズンでの負け越しを逃れ苦手意識も振り払った。

 今の楽天にとって、8回の2点差は逆転圏内。連日の劇的勝利に、野村監督も酔いしれるように会見場に現れた。「運か、実力か?

 たまんないね~、こういう試合は。胃が痛むけど。勝てば官軍で、勝ってしまえば、すべてが消えよる。それが野球だよ」と、先発ラズナーの乱調をボヤくのを飛ばして、ただただ勝利の味をかみしめた。

 8回にドラマが待っていた。2安打と死球で無死満塁。打席には5番憲史。カウント1-2インハイ直球を、詰まりながらも中前に落とす、2点適時二塁打を放った。続く高須は、キッチリ中犠飛で勝ち越しを決めた。嶋にも適時打が出て一挙4点。同監督は「野球って心理のスポーツでね。みんなが追いつけると思ってやっているのが8回に爆発するんだ。ベンチの中で『行ける行ける』『とりあえず1点行こう』と声が出ている」とうれしそう。

 ノリノリの要因(?)の説教も出た。しかも勢い余ってか、審判に対してだ。5回1死一、三塁、ロッテ早坂の打球はファウルゾーンでワンバウンドし、2バウンド目は三塁後方フェアゾーン。ファウルと主張する野村監督は、橋本三塁塁審に抗議した。監督は「毎日怒鳴っているな。説教3連投だ!

 ハハハ!」。予告通りの説教がまたもや勝利の吉兆となり、高笑いが止まらない。

 67勝は、07年のシーズン最多勝記録に並んだ。「67勝。あと1つくらい勝てるだろ。でもそれじゃ3位に届かないな。年齢の74勝に、あと7つか。17試合で7つか。それくらい勝てないと3位もないだろ。じゃあそれを目指して頑張ります」と74勝宣言だ。「ソフトバンク負けたの?

 直接対決いくつ?

 4試合か。じゃ、あるんじゃないの?

 チャンスはある」と、2位への色気もムンムンだ。

 ロッテ戦は8連勝。05年、開幕カードで0-26で負けて以来の天敵についに今季は12勝し、初めて負け越しを消した。ヒーローたちのビクトリーランを見つめる島田オーナーは「0-26。あの試合は絶対に忘れられない。ロッテにはトラウマがありましたけど、今年はそれがなくなったようですね」と、頼もしそう。ロッテの守備の乱れについて、野村監督は「目標のあるチームと、ないチームの差。去年までウチがそれをやっていた」。楽天の歴史は連日、大きく動いている。【金子航】

 [2009年9月21日9時24分

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