「マツダ男」に遠征3連戦の初戦を託す。阪神能見篤史投手(30)が7日の広島戦に先発する予定だ。敵地のマツダスタジアムでは、今季3度登板し、24回1/3連続で失点を許していない。3位争いの最終局面で、首脳陣も左腕に突破口を開いてもらう考えだ。5日には甲子園のブルペンで投球練習を行った。「(相性も)ここまできたら、関係ない。自分の仕事をするだけ」。得意の球場が舞台でも慢心はなかった。いつものポーカーフェースで、意気込みを語った。

 今回のマウンドには、期する思いがある。矢野が右足首ねんざで戦列を離れた。ペナントレースの復帰はもはや絶望でポストシーズンの復帰を目指す方向だ。黒星が先行し、苦悩が続いた前半戦。尊敬するベテラン捕手から何度も激励の言葉をもらった。飛躍のひとつの要因といっていい。いまや12勝9敗と白星の数が逆転した。好投することが、何よりの恩返しになる。「(他の投手も)みんな、そう思っていると思う。今まで面倒みてもらっているんで…」。淡々と話していた能見が、矢野の話題になると、熱がこもった。

 岩田と並ぶ左腕の2本柱として、広島戦は大きな期待がもてる。前回の9月30日ヤクルト戦では、プロ入り初めて中4日の間隔で登板し、6回途中まで無失点に抑えた。目を見張る成長で、重圧のかかる舞台でも力を発揮してくれるはずだ。「チームが勝てるように投げたい」。最高の投球で、ヤクルト戦に控える安藤、岩田にバトンを渡す。

 [2009年10月6日11時14分

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