<楽天9-0ロッテ>◇7日◇Kスタ宮城

 クライマックスシリーズ(CS)地元開催が見えた。楽天がロッテに9-0で完勝し、CS第1ステージ(16日~)を仙台で戦える2位確定に王手をかけた。エルニーニョ打線がまたも爆発し、2回に5安打を集中して一挙4点を先制して主導権を握った。投げては完封リレーで、先発永井怜投手(25)が7回まで散発3安打に抑えて13勝目を挙げた。9日のオリックス戦(Kスタ宮城)に勝つか引き分ければ球団初の2位が決まる。

 痛快な光景が、またもベンチの野村監督の目に映り続けた。2回2死から3連打で先制すると、相手のミスにもつけ込み5安打で一挙4得点。この日もお得意の集中打が爆発した。「今年は2死からの大量点が多いな。これをどう評価するか。チームの力がついたのか、たまたまなのか。しょっちゅう起きてるんだから、たまたまじゃないんだろう。試合自体は文句なし」と大満足だ。自然現象「エルニーニョ」ならぬ、楽天現象「ノムニーニョ」。チームはすでに不思議な現象と呼べないほどの力強さを見せつけた。

 強者にだけ許される余裕が、今の楽天にはある。5点リードの7回にも、4安打で3点を挙げ試合を決めた。序盤から大量リードの展開に、両ひざに不安を抱える渡辺直を5回で交代させる余裕まで生まれた。野村監督が「安心感、安定感は1番」と褒めちぎる先発永井も7回無失点82球で早々と降板し13勝目。橋上ヘッドコーチも「CSに向けて理想的なゲームだった」と笑みを見せた。チームは9月に26試合、10月はこの日で6試合と、37日で32試合の過密日程に耐えてきた。連戦の疲労から選手を解放する意味でも、理想的な大勝だった。

 好循環は若手も目覚めさせた。左ふくらはぎ痛の鉄平に代わりスタメン出場の聖沢は2安打。途中出場の内村も今季初適時打を放った。聖沢は「いいチャンスだと思って、プレッシャーを感じながらやっています。少しでもいい野球をしたい」と意欲を見せた。ラッキーボーイの出現が必要な短期決戦。候補選手の出現は、チームにとっても予想外の朗報となった。

 負のイメージも完全に振り払った。この日の勝利でロッテに球団創設以来初めてシーズンで勝ち越した。過去4年間で27勝58敗3分けと、やられ放題だった相手。創立年(05年)の開幕2戦目には0-26と大敗を喫した因縁もあった。それでも8月16日のロッテ戦で6点差をはね返してのサヨナラ勝ちが、チーム浮上のポイントにもなった。「いつまでもお客さんではいられない」と話す野村監督の言葉を、成長した選手たちは実行する力をつけていた。

 球団初のCS進出に続き、CS地元開催にも王手。9日のオリックス戦に勝つか引き分ければ仙台CSが現実となる。野村監督も「あさってに決めて(11日の)ソフトバンクとの(本拠地)最終戦は、ファン感謝デーにしたい」と、一発で決める自信を見せた。次々に目標をクリアする野村楽天に、本物の強さがみなぎってきた。【小松正明】

 [2009年10月8日7時53分

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