<横浜2-12巨人>◇1日◇横浜スタジアム

 風速11メートルの強風を受けても、巨人内海哲也投手(27)の肉体と精神力はぶれなかった。初回、マウンド上では感じたことのない風が体を襲った。それでも「向こうのピッチャーも同じ条件。気にしないでいこうと」。風の影響で普段より変化球が大きく曲がったが、均整のとれた美しい投球フォームは最後まで乱れなかった。

 味方の大量援護を受け、快調に飛ばした。最速は144キロ。球威とキレを取り戻した直球を右打者の内角、左打者の外角へ投げ込んだ。「フォームのバランスが良く、ボールに力が伝わりました」。指先に伝わる感触が、好調さを物語っていた。

 嫌な流れをはね返した。前日は初回に4点を奪いながらサヨナラ負け。前投手コーチの横浜尾花監督に初黒星を喫した。「今日は今日と思っていた。尾花監督?

 恩返しです」とニヤリ。開幕前は「研究されていて、やりにくい部分はある」と話していたが、マウンドでは自分の投球に集中した。8回9安打を浴びながら2失点。真骨頂の粘りで、2勝目をもぎ取った。

 開幕前の16日、家族、知人と焼き肉店で決起集会を開いた。会の締めで2児のパパは息子を抱えながら、1つの誓いを立てた。「今年は開幕から突っ走ります。4、5月で10勝!

 尚さんを超えられるように頑張ります」。昨年は不調から5月に2軍落ち。07年に高橋尚(メッツ)が6月までに10勝を達成したが、その“兄貴超え”を宣言して自らを奮い立たせた。

 今年2度目のお立ち台。締めの言葉に選んだのは「20勝します!」。力強い言葉が、強風が吹き荒れる横浜の夜空に響いた。【久保賢吾】

 [2010年4月2日9時6分

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