<阪神1-2広島>◇21日◇甲子園

 無念の被弾…。阪神久保康友投手(29)が力投を見せながら1発に泣いた。最速150キロをマークした直球を軸に、序盤からコイ打線をグイグイ攻めた。8回を終えて6安打1失点。広島エース前田健と互角の勝負を続けたが、9回にまさかの瞬間が訪れた。

 簡単に2死を奪い、打席には7番小窪。プロ通算5本塁打、今季は1発を放っていない相手だ。フルカウントからの8球目、この日125球目。外角へ逃げるスライダーは決して甘いボールではなかった。小窪を泳がせた。だが、打球は左翼ポールに向けてフラフラ…。左翼から右翼へ風が吹き、ボールが切れない。ポール際に打球が沈むと、聖地はどよめきに包まれた。

 久保

 打たれたら一緒。競ったゲームで(味方守備陣に)良いプレーも出ていた。流れがこっちに来ていたのに、大事なところで打たれて情けない。

 本人はこわばった表情で猛省したが、今季2敗目は責められない。9回131球を投げ、7安打6奪三振1四球の2失点。09年7月30日横浜戦で完封して以来、265日ぶりの完投は、今季チーム初の完投だ。開幕からの4試合は6回4失点、6回3失点、7回1失点、そして9回2失点。試合を作り続ける右腕に対し、真弓監督は「責めようがない」とねぎらった。

 オフ、鹿児島県種子島での自主トレ中に「(投手の)原点のスピードボール、強いボールをしっかり磨きたい」と口にし、宣言通りの快投だ。140キロ台後半の直球を武器に力でねじ伏せながら、負けた。無念の夜を越え、次は悔しさを晴らす。

 [2010年4月22日11時16分

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