<阪神4-3巨人>◇30日◇甲子園

 阪神が首位巨人との首位攻防第1ラウンドを制した。3-3の9回、代打桧山進次郎外野手(40)の三塁打と2四球で1死満塁とし、鳥谷敬内野手(28)が一塁線を破る安打を放った。今季2度目のサヨナラ勝ちで今季2度目の3連勝、巨人とのゲーム差を2に縮めた。

 痛烈な打球が一塁線を破ると、普段はクールな鳥谷が右拳を突き上げた。3-3の9回1死満塁。カウント0ー1から早大の後輩、巨人越智の真ん中149キロをひっぱたいた。「抜けた瞬間(ガッツポーズが)出ていましたね」。自身4年ぶり4度目のサヨナラ安打。一塁を回ってチームメートから手荒い祝福を受けた選手会長は、顔をくしゃくしゃにした。

 ヤクルトに2連勝して戻った甲子園で、3連勝すれば首位に浮上できる「伝統の一戦」を迎えた。初回に先制されたが、その裏に巨人坂本の失策に乗じて同点とした。1点を追う3回には、1死二塁から鳥谷の右翼フェンス直撃の適時二塁打で、再び試合を振り出しに戻した。さらに2死一、二塁から6番ブラゼルの右前適時打で勝ち越しに成功。6回には同点とされたものの、巨人の独走は許すまいと食らい付いた。

 同点で迎えた9回1死から、真弓監督が満を持して勝負に出る。代打桧山だ。開幕戦で「代打の代打」を告げられ、その後は8打席連続無安打と苦闘するなど「開幕からチームに貢献できてない気持ちが大きかった。自分の中にストレスがあった」というプロ19年目の40歳が、越智の初球を一閃(いっせん)。フェンス直撃の三塁打を放つと、甲子園は最高潮に達した。続くマートン、平野が連続四球で満塁。外野フライでも許される局面で鳥谷は「そんなにいろいろ考えず、相手も四球は嫌だし、積極的に行けば結果がついてくると思った」。今季13試合に登板して1点しか失っていなかった越智に、ガツンとサヨナラ打を浴びせた。

 3連勝で4月の勝ち越しを決め、貯金は今季最多の5まで増えた。桧山がお立ち台で「この場所に立って声援を受けるのは久しぶりな気がします」と照れ笑いを浮かべ、隣の鳥谷は「接戦を取れたのは大きい。明日もきっちり勝っていい形につなげていけたら」と声を弾ませた。真弓監督は「疲れました。最後までもつれると予想していた」。今季16勝中、10度目となる逆転勝利で追撃態勢が整った。

 [2010年5月1日9時21分

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