<ソフトバンク2-4阪神>◇18日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの必勝パターンが崩れ去った。1点リードの9回。ブライアン・ファルケンボーグ投手(32)から引き継いだ守護神・馬原孝浩投手(28)が同点打を許し、今季初の救援失敗。延長10回には摂津正投手(27)が2点を失い、連勝は2で止まった。2投手がそろって失点するのは昨年から通算して初めてで、勝利の方程式「SBM」が全員登板した試合でリードを守れなかったのも今季初。痛恨の1敗となった。

 ソフトバンクが今季初めて「SBM」を投入しながら逆転負けを喫した。試合後、会見場のイスに腰掛けた秋山監督が、悔しさを胸の奥に押し込めた。「ゲタを履くまで分からんな。詰めのところが一番大事。しょーがねーや。馬原でやられたら、仕方ない」。4度目の延長戦で今季初黒星。まさかの展開を受け入れるしかなかった。

 暗転の始まりは、9回表だった。1点リード。ここまでリードしている展開16戦すべてで無失点だった守護神馬原が崩れた。先頭の城島に左前安打されたのをきっかけに、2死二塁のピンチを背負うと、代打桧山には高めに浮いたスライダーを痛打され、今季初の救援失敗。昨年は阪神戦で登板した全3試合で失点したが、今季も悪夢は繰り返されてしまった。

 負の連鎖は止まらない。延長10回表。スクランブル登板した摂津も崩れた。3安打に2犠飛。阪神打線の勢いを止められず2失点。今季初黒星だ。プロ2年目の摂津と、ストッパー馬原の最強コンビは、昨年から57試合目で初めて2人そろって失点した。

 ダメージの大きさは計り知れない。8回にはファルケンボーグが登板していた。今季「SBM」がそろい踏みしたのは14度目。調整登板のためビハインドの展開で3人が投げたケースが1試合あるが、リードを守りきれなかったのは11試合目で初めてだ(同点投入で1勝1分)。さらに、今日19日の一戦にも微妙に影を落としてくる。ファルケンボーグ、摂津が連投する際は極力1イニングに限定されるため、馬原への負担が大きくなりかねない。

 城島人気もあってか、今季最多3万5388人を集めた一戦は、最悪の結末で終わった。城島の一打から勝利のシナリオが崩れたのも、何とも後味悪い。連勝は2で止まり、交流戦は2勝3敗と再び借金。「切り替えて、また明日行きましょう」と秋山監督。その言葉を受けるように、馬原は言った。「切り替えができないと、このポジション(ストッパー)は務まらない。阪神戦?

 苦手意識があると、このポジション務まらないでしょう」。視線を落とすことなく、守護神が前に向いたのは、何よりの救いだ。

 [2010年5月19日11時54分

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