<阪神3-2中日>◇30日◇甲子園

 すでに今季30度目の逆転の虎だ。好調同士の対戦で、真弓阪神が落合中日を競り落とした。1点のリードの8回2死一、二塁、先発久保康友投手(29)から守護神藤川球児投手(30)に迷わずスイッチ。“禁断”のイニングまたぎで3連勝、首位をキープした。

 禁を破り藤川球が締めた。8回2死一、二塁。いつもより早く出番が回ってきた。見つめる先にはブランコ。カウント2-1と追い込み、スタンドも息をのんで見守った4球目。153キロの火の玉は、バットにかすらせもしなかった。甲子園は雄たけびに包まれ、球児コールが巻き起こった。

 「大事な試合やったから。リミッターが外れた?

 多少はね。中日やし、こういう試合に勝ってよかった」。後半戦3試合目にして、封印が解かれた。球宴後のシーズン再開前、首脳陣は8月中の「9回限定登板」を決め込んでいた。8月になる前に「イニングまたぎ」が解禁。真弓監督は「本当は1イニングだけにしたいんだけど…、こういう試合は絶対に落としたくなかった。石橋をたたいても、取りたかった」と説明した。

 守護神の右腕もうなった。9回和田への3球目では自己最速タイの156キロをマーク。「何でやろ」と自身も首をかしげた。しのぎを削る、ライバルへの対抗心が肉体も動かした。

 マウンドではなく、打席でもオーラを放った。8回、今季2度目のバッターボックス。力の抜けた構えで左打席に立つと、ストライクゾーンにすらボールを投げさせなかった。四球を選び、4年ぶりの出塁も果たした。

 30歳になった。若返った投手陣の中では、アニキ的存在だ。延長で決勝弾を打たれた西村には「もっとひどい打たれ方をしたことがある」と経験談で心のケアを施した。好投しても勝ち星が伸びない鶴には「お前はタイガースのエースになれる逸材だ。だから、6回、7回の壁を越えないといけない」と1時間にわたってエース論を授けた。そして、マウンドで完ぺきに相手を封じる姿が、言葉に説得力を強める。

 神経をすり減らす接戦を制した。クラブハウスに戻る藤川球は、体中から汗が噴き出していた。「また、明日です」。3連勝で中日には4ゲーム差を付けたが、2強との直接対決はまだ8試合続く。サバイバルゲームに気を抜く暇はない。【鎌田真一郎】

 [2010年7月31日8時49分

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