武蔵流で勝負!

 ソフトバンク内川聖一外野手(28)が、宮本武蔵の「五輪書」の教えを胸に戦国パ・リーグに挑む。個人契約を結ぶ武野顕吾メンタルトレーナー(43)から希代の剣豪が残した兵法を参考に精神面を強化された。本拠地デビューとなる26日、広島戦は3番左翼での先発が濃厚。オープン戦から打ちまくり、3番の座を確実にする。

 ヒットマンに最強の剣士の魂が宿る。26日から始まるオープン戦、内川にとってタカのユニホームを着て臨む初の対外試合は本拠地・福岡ヤフードームでの広島戦。宮本武蔵のように神経を研ぎ澄ませ「待たせたな-」とばかりに、ホークスファンの前に登場する。

 内川は、横浜時代の03年からメンタルトレーナーの武野氏と個人契約。精神面を強化してきた。新天地に臨む気持ちは誰でも高ぶるもの。しかし、気負いが裏目に出ては悪循環になる。

 「よく(武野メンタルトレーナーから)言われているのが、劇的に何かを変えられるわけではないということ。新しい環境に変に合わせようというのではなく、自分らしさを前向きに出していきたい」。

 同トレーナーの教えは、宮本武蔵の兵法書「五輪書」にある「空(くう)の巻」の内容を参考にしているという。迷いが晴れている状態こそ真の空であり、邪念や迷いをなくし、練習に打ち込むことが最も大切というわけだ。同トレーナーは「まず長所を伸ばすにはどうすればいいかということを話す。私が学ぶ臨床心理学は、『五輪書』にある空の巻の考え方にリンクする」と説明。宮本武蔵の考え方が、内川の気持ちを強くしている。

 本家は二刀流で有名だが、守備では五刀流に挑戦中だ。あす広島戦で先発が予定される左翼だけでなく、中堅、右翼、一塁、三塁を宮崎キャンプでテストされた。本人は意欲的で、さまざまなオーダーが可能となる。

 「自分の能力以上のものは出せない。どこを守っても、自分のやれることをやるだけ。オープン戦だから打たなくていいとかは全く思っていない。横浜の時とは違う。ポジションを勝ち取らないといけない。結果がほしいとも思っている」。

 24日はオフ。これから始まる戦いに備え、体を休めた。パ・リーグ開幕まであと1カ月。その前に戦うオープン戦で試運転する。ダルビッシュ、岩隈、涌井、成瀬、田中…

 パの好投手は宮本武蔵の好敵手だった佐々木小次郎のように強者ぞろい。刀をバットに替え、宮本武蔵のように、相手投手を打ち倒す。“巌流島”の決闘が、いよいよ始まろうとしている。【奈島宏樹】

 [2011年2月25日10時42分

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