<オープン戦:ソフトバンク1-0広島>◇26日◇福岡ヤフードーム

 恐怖の9番打者だ!

 ソフトバンク細川亨捕手(31)が、オープン戦初戦の広島戦(福岡ヤフードーム)に9番捕手で先発出場。3回の移籍初打席で、決勝の中前適時打を放った。キャンプでの打撃改造が実り、3打数2安打と大当たり。下位打線のポイントゲッターに定着すれば、連覇への視界は大きく開ける。

 変化球に自然と反応した。3回無死二塁、広島斉藤の5球目の内角低め。脇を締めた細川は、力まずにバットを振った。中前へポトリと落ちる先制打。ホークス移籍後初のオープン戦で、初の福岡ヤフードーム。初打席で結果を出した。

 「飛んだところがよかった。まだ1試合ですから。何とも言えないけど、打てたことは良かった」。

 最低でも走者を三塁に進めないといけない場面。ベンチからのサインは「右打ち」だった。進塁打を心掛けた結果が、適時打につながった。第3打席では初球を右前へ運んだ。3打数2安打と結果を出した。過去最高打率は07年の2割3分9厘で、昨季は1割9分1厘。「守備の人」のイメージが強いが、打撃も進化したことを見せつけた。

 宮崎キャンプでは若手に交じりほぼ毎日、早出特打を行った。王球団会長からフリー打撃中に「力をできるだけ抜いてスイングした方がいい」と助言をもらった。その金言を胸に刻み、ひたすらバットを振った。走り込みながらティー打撃を行うなど、力まずに打つコツをつかもうと必死だった。この日も、若手の柳田、今宮とともに全体練習開始前からバットを振り、特打を行った。

 「当たり前のことを当たり前でやっているだけ。捕手だから打たなくていいという甘えはない。1人の打者として結果を求められることは分かっている」。

 ソフトバンクの超重量打線が披露された。昨季の3割打者が1番川崎、3番内川、4番カブレラ、5番多村の4人。カブレラ、6番小久保、7番松中は本塁打のタイトルホルダーだ。下位打線から上位へのつながりがカギだが、9番細川がつなぎ役として機能すれば心配はなくなる。秋山監督は「良かったんじゃないか」とニンマリ。藤井打撃コーチは「あまり(下半身を使って打つのは)得意ではないみたいだけど、練習の成果が少しずつ出始めている」と評価する。

 「20本塁打は打ちたい。『君なら打てる』と王さんにも言われたので」。

 もう守るだけじゃない。細川が恐怖の9番打者となれば、ホークスはリーグ2連覇へ大きく近づく。【奈島宏樹】

 [2011年2月27日11時53分

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