<ソフトバンク5-5西武>◇10日◇ヤフオクドーム

 左膝手術から復活した西武中村剛也内野手(30)が、今季初本塁打を放った。1点を追う7回2死、同点弾を左翼席に運んだ。昨年10月末に左膝の手術を受け、今月6日のロッテ戦で1軍昇格。昨年10月15日のクライマックスシリーズ(CS)ソフトバンク戦以来330日ぶりの1発に、32回目の誕生日を迎えた妻麻里恵さんへ祝福と感謝を込めた。チームは3位ソフトバンクと引き分け、CS進出に向けて正念場を迎えた。

 中村が妻に贈る5度目のバースデーアーチだった。いつもなら「おめでとう」で終わる1発だが、この日だけは「ありがとう」も込めた。「復帰初戦、そして1本目のホームランは家族に見てもらいたいなと。やっぱり、ケガして、一番迷惑をかけたのは家族なんで。元気な姿を見せる、ただそれだけなんやけど」。リハビリ中、そう誓ったパパの本音。観戦できなかった家族にも伝わっただろう。

 長く、つらかったリハビリを支えてくれたのは家族だった。昨年10月末に手術を受け、約1カ月間の入院生活。妻麻里恵さんは夫の体調を気遣って、栄養バランスを考えた食事を病院に運んでくれた。膝への負担軽減のため、体重の増加を避ける必要があったが、カロリー計算されたメニューを用意。入院生活を「暇やったけど、それ以外は普通」と笑えたのは、妻の支えがあったからだった。

 家に帰れば、無邪気な4歳と1歳の息子に救われた。日々変化する痛みの中、現実逃避したい日もあった。それでも、一緒に遊ぶ瞬間だけは全てを忘れられた。「本当に癒やしてくれた。ストレスがたまる一方やったけど、子供と遊んでる時だけは違った。かわいいもん」と表情を緩めた。子供ながらに父親のケガを理解してくれた。申し訳なさを感じると同時にグラウンドで報いると強く誓った。

 この日の試合前、「今日は何の日ですか?」という問いに「牛丼の日」とジョーク交じりに言ったが、08年から4年連続で続けた中村家の“儀式”は守った。チームは引き分けで、3位ソフトバンクとの3・5ゲーム差は変わらず。それでも、直接対決は5試合残され、逆転CSの可能性も十分にある。「野球は点取りゲームなんで、1点でも多く取れれば」。勝てなかった悔しさを次戦への糧に変える。【久保賢吾】