<オリックス8-4日本ハム>◇7日◇京セラドーム大阪

 日本ハム大谷翔平投手(20)が、日本球界初の同一シーズン「2桁勝利&2桁本塁打」を達成した。4回1死、オリックス吉田一から今季10号をバックスクリーンへ運んだ。投手でのここまで10勝(4敗)に合わせ、打者でも2桁アーチに到達。大リーグでベーブ・ルース(当時レッドソックス)が1918年に13勝&11本塁打をマークして以来、実に96年ぶりの「10勝&10発」の大偉業。チームは敗れたが、投打「二刀流」の進化はとどまるところを知らない。

 野球の神様に続いた。大谷が4回1死、バックスクリーンへ10号ソロを豪快にたたき込んだ。メジャーでもベーブ・ルースしか達成していない「10勝&10発」の快挙。「個人的には気にしていません。他の打席でも打てる球があった。ミスショットが多い方が気になります」。試合に敗れ、淡々と振り返った。浮かれないこの姿こそが、歴史的快挙達成の一因でもあった。

 「映画で見たことがある」というルースの「伝説」を、現代によみがえらせた。カウント2-1から、直球に狙いを絞った。高め141キロ。ややボール気味だったが、振り抜いた。低い弾道のままフェンスを越えた。「入るかはわからなかったけど、しっかりとらえられた」。メジャー714本塁打のルースには「投手の股を抜け、遊撃手がジャンプした打球が本塁打になった」という、逸話がある。ライナーのままバックスクリーンに届いたメモリアル弾は、同じようにファンの度肝を抜いた。【約束のホームラン】

 ルースが病床の少年に本塁打を約束し、見事に期待に応えたのも有名な話。大谷も今年5月、北大病院を訪問し、院内学級の生徒と交流した。車椅子の少年に「本塁打が見たい」とお願いされ、以降8本塁打。元気をもらったこの少年は、無事退院したという。【驚異の能力】

 ルースには、回転しているレコード盤の文字が読めたというエピソードもある。ケタ外れの動体視力。一方、大谷は…。シニアリーグ時代、時間があれば中学の軟式野球部にも顔を出した。練習試合をベンチで観戦した際、打者の動きでスクイズを察知したり、初めて見る選手なのに、前の打席の内容から打球方向を予測。並外れた野球眼で、顧問の教師を驚かせたという。

 そして伝説の、その先へ。残りは22試合。「1打席1打席、1回1回の登板を大事にして、自分のやりたいことができるように頑張りたいです」。“神様超え”も視界にとらえている。【本間翼】

 ▼大谷が今季10号を放った。大谷は投手として今季10勝しており、10勝以上したシーズンに10本塁打はプロ野球史上初。大リーグでも1918年ベーブ・ルース(Rソックス=13勝、11本塁打)しか記録していない「10勝+10本塁打」を達成した。7月終了時の大谷は146打数5本塁打で本塁打率(打数÷本塁打)は29・2だったが、8月以降は45打数5本塁打で本塁打率が9・0と大幅にペースアップ。シーズンの本塁打率も19・1となった。今季、パ・リーグで10本以上打っている18人の本塁打率上位を出すと、(1)メヒア(西)10・5(2)中村(西)11・2(3)ペーニャ(オ)14・2(4)大谷(日)19・1(5)陽岱鋼(日)19・3。大谷は現在4位で、パ・リーグの左打者では大谷の本塁打率がトップだ。