<WBC:日本8-1中国>◇1次ラウンドB組◇9日◇東京ドーム

3大会ぶりWBC優勝を目指す侍ジャパンは、初戦の中国戦に苦しみながらも勝利した。初陣を任された先発大谷翔平投手(28=エンゼルス)は4回1安打無失点の投球で流れを引き寄せ、1点リードの4回にはバットで2点二塁打を放ってリードを広げた。

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小学校2年の頃から、大谷の二刀流は始まった。岩手・水沢市(現奥州市)の水沢リトルで当時コーチを務め、現在は監督の佐々木一夫さん(58)は「身体能力はもちろん、勝ち気なところ、負けず嫌いなところがすごかった。打たれたり、三振したりすれば悔しがって、闘争心むき出しだった」と振り返る。

大谷は中学1年で初めて全国大会に出場し、初戦で敗退。千葉・船橋のチーム相手に0-2で敗れた。「相手のピッチャーの方がすごかった。完全に抑えられた。翔平は上には上がいるというのは感じたと思う」(佐々木さん)。戦いに敗れても屈せず、はい上がる度に強くなる。その心意気は、今でも変わらない。

リトルリーグ時代、冬場は雪でグラウンドが使えない。室内練習場も、冷たい風が吹き抜ける。朝はマイナス10度ほどになる厳しい寒さの中、欠かさず30分ほどは柔軟体操やストレッチを行った。メジャーでリハビリを行っていた時、地道で単調な練習も「好きです」と語った大谷。佐々木さんは「その辺がすごいですね。目指すものがあるから、続けられる」と感心する。

この日の試合前、黙々と自分のルーティンを続けていた。2回は満塁機で凡退。3回まで我慢の展開となった。だが続く打席で挽回した。最強二刀流の礎は、負けん気と忍耐。大一番でも存分に発揮された。【MLB担当=斎藤庸裕】