3日目から休場した元大関で東前頭10枚目の照ノ富士(26=伊勢ケ浜)に、かつての自身を重ねてエールを送る人がいる。元大関雅山の二子山親方(40)だ。照ノ富士は先場所までの3場所は左膝痛などが影響して休場し、今場所は「2型糖尿病で約1週間程度の療養を要す」との診断書を提出。再出場しなければ来場所の十両転落は確実な状況だ。二子山親方は「照ノ富士は若いのだから、もう1度はい上がってほしい。力はある。燃え尽きたら終わる」と気力の重要性を訴え、再浮上に期待した。

 22歳で大関となった二子山親方は在位8場所、24歳の時に陥落した。照ノ富士も23歳で昇進した大関を14場所務めたが、25歳の昨年11月九州場所で関脇、今場所から平幕へと番付を落とした。昭和以降、元大関で十両まで番付を落としたのは大受、雅山、把瑠都の3人しかいない。把瑠都は引退前は休場続きで、番付では十両に名を連ねたが、実際には出場していない。十両の土俵に立った最後の元大関は雅山となっている。

 二子山親方は大関陥落から約9年後、幕内に返り咲いた。その後も小結まで番付を戻すなど、大関陥落後に関脇以下を史上最長の68場所務めた。35歳で引退した13年春場所は十両として取り切り3勝12敗。千秋楽に3勝目を挙げるなど、最後まで目の前の一番に全力だった。「まだ燃え尽きていなかった。絶対にチャンスがくると信じていた。最終的には(幕内に)上がれなかったけど腐らず稽古を続けることが大事」。当時を振り返り、復活を期待していた。【高田文太】