同級3位中山佳祐(28=ワタナベ)が王者リチャード・クラベラス(フィリピン)を2-1の判定で下して新王者についた。「相手が強くて心が折れそうだっだが、声援で最後まで頑張れた。今までの中で一番強かった。パンチも強かったが、練習でやったことを出せて良かった」と感謝、歓喜の声を会場のファンに届けた。

 序盤、フットワークを巧みに使い、前進する相手にパンチを合わせてペースを握った。中盤には打ち合いに応じる場面も見せたが、「いきすぎそうになった」と対処。「自分がいけると思ったらついつい打ち合いにいってしまう」という悪癖をとがめるセコンドの声にも反応し、踏みとどまると、ポイントでリードした終盤は再び足を効果的に使って、リードを保った。

 15年4月に世界戦経験経験者の久高寛之に完敗したのを機に、一念発起して故郷の佐賀県から上京した。前WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志ら世界王者を輩出するワタナベジムの門をたたき、「チャンピオンと一緒に練習して、まだまだ実力が足りないと妥協せずにできた」と地道に努力を続けてきた。「左も当てるのを優先していたが、打ち込むパンチも打てるようになった」と成長を感じていた。

 下馬評では不利な状況に、渡辺会長も「予想外。相手は経験もあるし、KO率も高かった。殊勲賞ですね」とたたえた。中山は今後について「タイトルを取ったら泣けるかなと思ったけど、そうでもなかったので、もっと上を目指して頑張りたい。とりあえず防衛ですね」と先を見た。