ボクシングのWBO世界ミニマム級王者山中竜也(22=真正)が「ナガスパ」での家族孝行を実現させる。

 18日に神戸ポートピアホテルで行われる同級4位モイセス・カジェロス(28=メキシコ)との初防衛戦に向けて、12日は神戸市内の所属ジムで公開練習。ミット打ちなどで約2時間精力的に汗を流すと、十数人の報道陣を見て「今日これだけみなさんに来てもらって(自分が王者と)ちょっと感じました。必ず勝って(周囲に)恩返ししたい」と力強く意気込んだ。

 低姿勢で、謙虚な山中は自分の拳ひとつでのし上がってきた。6人きょうだいの長男は、大阪・堺市内の中学を卒業すると神戸市内に住み、時給850円のカツ丼店で生活費を稼ぎながらボクシングだけに打ち込んだ。女手ひとつで育ててくれた母理恵さんへの感謝をいつも口にし、この日も「中学生の頃に(三重・桑名市の)ナガシマスパーランドに旅行に行った。勝って、行きたいですね。しっかり勝って、7人で行きたい」と家族での旅行を夢見た。

 現時点でスパーリングは100回に到達し、コンビネーションのタイミングなど引き出しを増やしてきた。国内では2例目となるホテルでの世界戦を制し、初防衛の喜びをみんなで分かち合う。