ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25)の弟で、WBC世界同級5位拓真(22=ともに大橋)が同団体ベルトを意識した緑でコスチュームを統一する。30日に東京・大田区総合体育館で同級2位ペッチ・CPフレッシュマート(25=タイ)との同暫定王座決定戦を備え、8日は横浜市の所属ジムで4回のスパーリングを消化。トランクス、ガウンともにWBCのグリーンとホワイトを選択したことを明かした。

兄尚弥に続く世界王者を目指す30日の世界初挑戦に備え、井上拓はトランクス、ガウンともにグリーン、ホワイトを選択したことを明かした。「もちろんWBCベルトが緑なので。それが理由です」と声を弾ませた。9月のWBC指名挑戦者決定戦では緑色のラインを入れたヘアで臨み「今回はどうしようかと。緑も考えています」。既にWBCベルトを巻くイメージが出来上がっている。

この日は尚弥が動画撮影を担当する中で、4回のスパーリングに取り組んだ。テーマは「気持ちに余裕を持って冷静にいくこと」(井上拓)。ペッチと同じ長身サウスポーの練習パートナーに対し、自身の距離を保ちながら、強烈な右、左右の連打を打ち込んだ。「ペッチとはかみ合うスタイル。いい調整ができています」と自信にあふれた表情を浮かべた。

マッチメークが6カ月近く難航していた同級1位ウバリ(フランス)と同級3位ウォーレン(米国)による正規王座決定戦は今月22日に米ニューヨークで開催されることが決まった。井上拓が暫定王座をつかめば、いずれ正規王者との統一戦が待ち構える。「その先の戦いがあるだけ。目の前の試合に勝ちます」とクールな井上拓は今月に入って本格的な減量も開始し「飢えた感じになってきています」。心身とも充実した状態で、緑のWBCベルトに照準を合わせている。【藤中栄二】