【グラスゴー(英国)17日=藤中栄二】WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が日本人初となる世界ベルト5本のコンプリートを成し遂げる。IBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)との階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)準決勝は18日(日本時間19日)にゴング。既にWBA、WBC、WBOのベルトを獲得済みの井上は準決勝に懸けられたIBF、ザ・リング認定ベルト奪取で、全ベルト制覇を成し遂げる。

   ◇   ◇   ◇   

夜になると緑、青、黄などで鮮やかにライトアップされる試合会場のSSEハイドロで、井上が日本人初の快挙を目指す。ロドリゲスの保持するIBF王座、そして米国で最も権威ある専門誌「ザ・リング」認定ベルトが決勝進出者に贈られる。世界に通じる2つのベルトを一挙に獲得すれば、井上は主要4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)とザ・リング認定ベルトの5本を制覇したことになる。井上は「まず結果を出したい。(ベルト5本は)あとからついてくるもの」と平常心を貫いた。

既にWBSS決勝進出を決めている現WBAスーパー王者の5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)は11年2月の39戦目にアジア勢初の主要4団体ベルトを制覇した。日本では高山勝成が14年12月、プロ36戦目で日本人初の4団体制覇を成し遂げた。井上が18戦目で達成すれば日本人史上2人目で、日本最速となる。WBA、WBCのみが日本で認められていた時代にミニマム級で両団体のベルトを獲得した大橋会長は「ザ・リングのベルトも手に入れれば、まさにフルコンプリート。日本人初のことです」と強調した。

8日からグラスゴー入りし、14日にジムワークを打ち上げた。前日計量までの残り2日間、井上は「日本の調整と一緒です」と徹底して同じルーティンで準備を進めてきた。WBCライトフライ級、WBOスーパーフライ級、WBAバンタム級と獲得してきた井上がグラスゴーでベルト2本を追加し、世界に名だたるベルトをすべてそろえる。