ボクシングWBA世界ミドル級4位村田諒太(33=帝拳)が、過去最高の仕上がりを武器に「難関」の即再戦での王座奪回を狙う。

12日、エディオンアリーナ大阪で同級王者ロブ・ブラント(28=米国)との再戦を控えた村田は9日、都内で王者とともに予備検診を受けた。約2カ月の実戦練習に不安がないことを強調し、国内所属ジム世界王者が王座陥落後のダイレクトリマッチで過去12戦3勝という不利なデータを打ち砕く構えだ。

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ほどよい緊張感を持続させながら、村田は充実した笑みをみせた。昨年4月の記者会見以来、約2カ月ぶりにブラントと予備検診で再会し「特別な気持ちはない」と涼しい表情。医師の診断を受ける写真撮影時、自らの背後でおどけた表情をみせた王者を気にせず「(感情は)コントロールしなきゃいけないですね。熱くなりすぎず冷静に。肝心なのは自分の仕事に集中できるようにということです」と冷静さを貫いた。

実戦練習は今月5日に打ち上げた。5月上旬から始めたスパーリング数は130回を超えた。帝拳ジムの浜田代表は「過去最高の調整でした。週3回のスパーリングも、すべてが予定通りに進んだ」と手応えを口にした。試合1カ月半前に38度の高熱で10日間、スパーリングできなかった昨年10月の第1戦時と比較し「移動、減量などでマイナスなことがあった。『良い勝ち方をしなくてはいけない』というのもあったが、今回はブラントだけに絞れる。勝ち方は関係ない。勝てばいい」と強調した。

国内所属ジムの世界王者による王座陥落後の即再戦で勝利した例は、白井義男から山中慎介まで過去12戦で3勝と少ない。輪島功一の2度、徳山昌守の1度のみという勝率25%の「難関」となるものの、村田には完璧に近い状態にまで仕上げてきた自負がある。

「ここまでの練習が最高に良かったと思いますし、自信もあります。2日後の計量、試合当日まで良い状態に持っていかないといけないと思います」

検診後すぐに大阪市に移動し、現地でもジムワークを消化した村田がリベンジ達成で、過去の不利データも打ち砕く。【藤中栄二】