王者田中恒成(24=畑中)が2度目の防衛に成功した。

同級1位ジョナサン・ゴンサレス(28=プエルトリコ)との指名試合に7回TKOで勝利。王座奪取の木村翔戦、宿敵田口良一とのV1戦と激闘2連戦後の“落とし穴”をクリアした。

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実に高性能なカウンターパンチを見せてもらった。最初のダウンを奪った3回のシーンだ。挑戦者の右ストレートに合わせ、田中がすかさず出した右ボディーストレートは圧巻のテクニックと言っていい。相手の拳を回避しながら強烈な一撃を腹部に打ち込んだ一連の流れは、やはり並の王者ではないと感じさせた。

試合展開を分析しながら早めに攻めどころを見つけた部分も評価したい。1、2回とロープ際やコーナーに追い込んだが、相手が冷静に対処し、カウンターを狙ってきた。ここで顔面ではなく、ボディーにパンチを集めた判断が良かった。すべてボディーでダウンを奪ったところに、それが証明されている。

惜しむらくは4回に接近戦から左フックでダウンを許してしまった点。そして続く5回に焦りからか、パンチに力みが出てきたところが課題だろう。ただ今回は世界戦で初対戦というサウスポーに対して技術的に上回り、TKOで下した意味は大きい。また1ランク上の王者になったと思う。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)