山本美憂(45)が、ムエタイと柔術の実力者アム・ザ・ロケット(23)との22歳差対決を3-0の判定で制した。18年7月からRIZINで4連勝も昨年10月にTKO負け。ボクシング元世界3階級制覇王者長谷川穂積の指導を受け、この日の復活勝利につなげた。16年9月の総合格闘家デビューから10戦目の節目を圧勝で飾り、さらなる進化を誓った。

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青髪のファンキーおばあちゃん山本が、22歳の年の差対決を制した。1回からタックルで得意なグラウンドの形に持ち込み、相手の上にのりながらパンチや肘を連打。2、3回も何度もテークダウンし、強敵ロケットに何もさせなかった。

レスリングの山本一家に生まれ、英才教育を受けた元世界女王。16年リオ五輪出場を逃したのを機に、格闘家に転向。42歳でデビューした。19年息子アーセンに娘が生まれ、おばあちゃんになったが、衰えるどころか一戦ごとに強さは増している。「試合後には(相手ロケットから)お母さんと呼ばれてほほえましかったです」と苦笑いした。

18年7月からRIZIN4連勝だったが、19年10月、韓国女子格闘技のパイオニア、ハム・ソヒとスーパーアトム級ベルト挑戦権をかけ、TKO負けした。その後、「悔しかった」とすぐに練習再開。ボクシング元世界3階級制覇王者長谷川穂積のもとを訪ね、1週間毎日長谷川からパンチ技術の細かな指導を受けた。この日はグラウンドの場面が多く、打撃の決定的な攻撃はなかったが、レベルアップした姿をみせた。

12月29日には格闘技界のヘビー級レジェンド、43歳のヒョードルが41歳のランペイジと日本ラストマッチを行った。2人とも全盛期とはほど遠い動きだったのに対し、45歳の山本は成長を続ける。2人より年上と指摘されると、「私は彼らより若くみえるってことだよね?」とおどけた。年明けに拠点のグアムに戻る予定だが「言われれば、また飛んでいきます」。20年、さらに強くなった山本がRIZINを盛り上げる。【高場泉穂】