天山、小島ら同世代の思いを背負った最年長、永田裕志(52)の春が終わった。

10年前、ニュージャパンカップ(NJC)を制した同じ会場で勝利を願い、2回戦のリングに上がったが、SANADA(33)の前に沈んだ。

今シリーズ「絶好調」と話していた永田。試合を重ねるごとにパワーアップしていった。今試合も中盤以降ペースをつかんだ。SANADAの攻撃をかわすと、ナガタロック2をさく裂。何度もタイトルを取ってきた強烈な締め上げで勝負に出た。「来い、SANADA」と叫び、エルボー合戦も制した。SANADAの得意技Skull Endを受けながらも足技で逆転するなど軽快な動きを見せた。最後はランディングボディプレスに屈したが、あと1歩のところまで追い込んだ。「チクショー。負けた。悔しい」。肩を落としながら引き揚げたが、会場からは健闘をたたえる大きな拍手が送られた。

2月17日後楽園大会で、内藤のケガにより、SANADAと急きょシングルマッチで対戦。敗れはしたが「ネバーギブアップ」とリベンジを誓った。今月9日のNJC初戦では辻を退け、下馬評を覆した。統一されたIWGPの2冠(ヘビー級、インターコンチネンタル)ベルト論争にも言及し「ベルトに“世界”がつく、それをプラスにとらえて。大きく世界に躍進できるじゃないかと思う」と明かすなど状態は上向きだっただけに悔しい敗戦となった。

2冠統一により、天龍の持つ、IWGP世界ヘビー級の最年長戴冠記録(49歳10カ月)の更新はなくなったが、新たなベルトをどん欲に目指し続ける。「勝つまで。絶対、勝つまでやり続ける」。今回はかなわなかったが、52歳の“世界”挑戦はまだ始まったばかりだ。【松熊洋介】