新たなスター誕生へ、第2章が始まる。21日に行われる総合格闘技のRIZIN27大会(愛知・日本ガイシホール)に向け、榊原信行最高経営責任者(CEO、57)が日刊スポーツの取材に応じ、思いを語った。
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榊原氏は、トップ選手の戦いだけでなく、ビジネス面も考え、新たなファン層の獲得にも力を入れてきた。
あらゆるジャンルの中で「一番強いのは誰か」というコンセプトを大事にしてきた。これまでも元大相撲の曙やサップなど毎回、さまざまなジャンルで知名度のある選手に声をかけ、大会を盛り上げてきた。昨年末にはユーチューブで120万人の登録者数を持つシバターが参戦。公式サイトの試合の再生回数は、朝倉兄弟らを抑えてトップの数字をたたきだしている。
榊原氏 最強を決める緊張感のある戦いも評価されるが、それよりも注目されたのはシバター。圧倒的に数が多い。純粋なキャリアとしては出られる力ではないが、志とチャレンジ精神が多くの人に共感を得ている。世界的にもそうだと思う。「RIZINっていつもおもしろいことやるな」と言われるように。そこは大事にしている。
いろいろなスポーツをミックスした異種格闘技戦を目指してきたが、徐々に競技化されてきた。選手たちは総合格闘技(MMA)の中で勝つために戦略を重ね、トレーニングに励む。ランキングを決め、勝てば上位の選手と対戦していくオートマチックなシステムにも「変化がないし、(世間は)飽きているかもしれない」と人気低下を危惧する。
榊原氏 ストレートではなく、魔球のようなものを投じて、世界を振り向かせていきたい。コツコツやっている選手からすると、話題先行で出てくる選手には「ふざけるな」と思うかもしれないが、世間と向き合う以上は、話題を取ってナンボ。強くなることだけがトップアスリートに求められるものじゃない。格闘技は、野球やサッカーのように浸透したものではない。視聴率が上がって、チケットが売れるなら、僕らは何の照れもなく出場機会を与えると思う。
昨年末にはレスリング五輪銀メダリストの太田が参戦。オリンピアンだけでなく、アマチュアの選手たちの中には格闘技に興味を抱く選手も多いという。
榊原氏 メダリストになれば、セカンドキャリアの道もあるが、五輪が終わったら、食べていけなくなる選手も出てくると思う。日本全国に勇気を与えようとしていたその熱い思いを、格闘技で生かしてみてはどうかと。そういうチャレンジはぜひ応援したい。
もちろん、世界で活躍できる強い選手を作り出すことが最優先ではあるが、ビジネスとしての成功がなければ、存続は不可能。人気と実力のバランスを考えながら、榊原氏は日々模索し続けている。(終わり)
【松熊洋介】

