史上初の3選手による巴戦となった3冠ヘビー級王座決定戦は、ジェイク・リー(32)が、宮原健斗(32)、青柳優馬(25)に勝利し、第64代王者に輝いた。

試合前の抽選で2試合目の登場となったリーは、第1試合で青柳に勝利し、疲れの残る宮原を、わずか10分で仕留めた。続く青柳には、場外でマットを外され、床にたたきつけられるなど苦戦したが、最後は垂直落下式ブレーンバスターで3カウントを奪い、19分の戦いを制した。

時折、笑顔を見せるなど連戦でも疲れを見せず、勝利後にはしっかりとした足取りを見せ、ベルトを巻いてリング上で仁王立ち。「人生は挑戦だ。諦めなければ形になる」と力強く語った。

5月のチャンピオンカーニバル(CC)で優勝し、3冠ヘビー級王者・諏訪魔への挑戦権を得た。ところが今月20日に諏訪魔が新型コロナウイルス陽性判定を受け、ベルトを返上。予期せぬ巴戦になったが、力とスタミナの差を見せつけた。

それでも諏訪魔を破っての王座戴冠を見据えていたリー。「諏訪魔、あんたとのタイトルマッチに勝たないと俺の物語は先に進まない。痛いところもあるだろうから、しっかり治して万全の状態で戻って来い」と前王者にエールを送った。次期挑戦者には、芦野と石川が表明。「巴戦は疲れるから2人の勝った方とやるよ」と余裕の表情で語った。

会場となった大田区総合体育館は89年4月に3冠(PWFヘビー級、インターナショナル・ヘビー級、ユナイテッド・ナショナル・ヘビー級)が、現在の3冠ヘビー級に統一された場所。この日は元の3つのベルトも登場し、リーの肩にかけられた。さらに「ジャンボ鶴田メモリアルマッチ」も行われ、ゆかりのあるレスラーたちが躍動。記念の大会で、ファンも納得の強さを見せ、全日本の頂点に立った。

「延期や変更などあり、コロナ禍の状況の中でも俺は結果を残した」

諏訪魔を倒して真の王者となるまで、ベルトを守り続ける。【松熊洋介】