08年北京オリンピック(五輪)柔道男子100キロ超級金メダリストで総合格闘家の石井慧(34=チーム・クロコップ)が21年初戦で一本勝ちした。戦績8勝1敗のピエトロ・カペッリ(イタリア)とのヘビー級5分3回に臨み、北南絞めで仕留めた。国内滞在時に元UFCファイターで、現在はONEチャンピオンシップを主戦場とする岡見勇信とトレーニングしていたことを明かし「(北南絞めは)狙ってはいませんでしたが、得意な形に持っていけました。岡見さんに教えていただいた動きが少し出せました」と満足そうな表情を浮かべた。

1週間前に対戦相手の負傷変更のアクシデントもあったが、冷静な試合運びでグラウンド(寝技)に移行。得意パターンで一本を奪ってみせた。「数週間前から(相手が)変わりそうだとは聞いていた。8勝1敗と戦績の良い相手でしたが、自分の戦いができました」と石井。手応え十分のドイツでの白星となった。

昨年1月、都内で開かれたHEAT44大会でHERTヘビー級王座を防衛後、コロナ禍に見舞われた。さらに長年苦しんできた首の手術も受けた。患部周辺の筋力を強化してきたものの「(首の)コンディションを戻すのに1年近くかかりました」と振り返る。さらに4月に国内で予定されていた試合も相手選手の来日がかなわずに中止に。「落ち込みましたね。勝ち星から1年半も遠ざかり、試合キャンセルや手術もあってきつかった。でも諦めが悪いので頑張りました」と久しぶりとなる勝利の味をかみしめた。

次戦は未定ではあるが、21年初戦の勝利で気持ちは高揚する。現在もクロアチアを練習拠点とし、元PRIDE無差別級GP王者ミルコ・クロコップ氏のジムで練習している石井は「オファーがあれば何時でも」と国内外問わず、戦いの場を求めていく姿勢をみせていた。