10日(日本時間11日)に米アリゾナ州トゥーソンで行われたWBO世界フライ級タイトルマッチで、王者中谷潤人(23=M・T)が挑戦者の同級1位アンヘル・アコスタ(30=プエルトリコ)を4回TKOで退け、初防衛を果たした。

モンスターこと井上尚弥の大橋ジム、大橋秀行会長(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)が「近年まれにみる、恐ろしい選手になると思う」とまで評する才能を持つ新スター候補、「愛の拳士」の異名を持つ中谷とはどんな人物?

<中谷潤人(なかたに・じゅんと)アラカルト>

◆礼儀の空手 1998年(平10)1月2日、三重・東員町生まれ。両親が礼儀作法を学ばせるため、経営するお好み焼き店の客で師範の極真空手道場に小3から通わせる。小6で143センチの相手に、1度も勝てず。

◆目標ロペス 常連客に体重別のボクシングを勧められ、東員二中1年から桑名のKOZOジムに入門。3度世界挑戦した石井広三会長が世界を目指し右利きだがサウスポーに。リカルド・ロペス(メキシコ)にあこがれ、U15全国大会では中2、3年と連覇。

◆単身渡米 石井会長が交通事故死し、中卒で単身米国修行を決断。「高校はあとで行ける」と反対する両親を説得した。石井会長が師事したマック・クリハラ・トレーナーに3週間指導を受け、試合に勝った。

◆ルディ師匠 その後はルディ・エルナンデス・トレーナー宅にホームステイし、週6日のスパーで鍛えられた。3カ月おきに日米往来し米国を含めアマ14勝2敗。プロ入り後も米国でのスパーで強化してきた。

◆“里帰り”デビュー 新人王戦出場のため、16歳で岡部大介トレーナーが紹介したM・Tジム(神奈川)に入門する。プロ解禁の17歳になった15年4月に故郷の隣県・岐阜で1回TKO勝ちでプロデビュー。16年に東日本フライ級新人王でMVP、全日本新人王も制す。

◆階段確実 17年に日本同級ユース王座、19年に日本同級王座を獲得。東洋太平洋王座挑戦代わりに前哨戦で元世界王者メリンド(フィリピン)に6回TKO勝ち。昨年11月にWBO世界同級王座決定戦で世界初挑戦し、マグラモ(同)を8回KOで王座奪取。

◆愛の拳士 三重の実家の店の常連客からやさしい風ぼうから、「愛の拳士」と命名される。知人のイラストをトレードマークに約200人の三重後援会がある。趣味は海釣り、卓球。171センチの左ボクサーファイター。15年には三重から引っ越してサポートする両親と弟の4人家族。