デビュー50周年を迎えた藤波辰爾(67)が現役続行への思いを打ち明けた。

メインイベントの試合後、マイクを手にリング上から「もうちょっと、もう少し皆さんに拍手をもらえるよう頑張ります」とファンに宣言。

往年の入場曲「ドラゴンスープレックス」の流れる中、リングを後にした。藤波は越中詩郎、武藤敬司を従え、天山広吉、小島聡、AKIRA組と対戦する6人タッグマッチに出場。オールドファンにはたまらない顔ぶれで、まず越中がイライラ足踏みをして先陣を切る。武藤は高速エルボードロップ、シャイニングウィザード、天山はモンゴリアンチョップ、小島は逆水平の乱れ打ち、AKIRAはコーナーポストからのボディーアタックを決める。藤波はつなぎ技の首投げでクラシックな入りを見せ、ロープに振ってのスリーパーからドラゴンスリーパー、武藤と足4の字固めの競演などでファンを沸かせた。最後は11分25秒、越中がAKIRAにコーナーポストからジャンピング・ヒップアタックを決め、3カウントを奪った。

藤波の体調は最悪だった。9月末に左脚に蜂窩(ほうか)織炎を発症し、10月5日から約2週間入院。一時は高熱が出て、脚は「ザクロのように」(藤波)腫れ上がっていた。「絶対、今日はリングに上がろうと思った」と左ひざ下をテーピングで固めた脚でファイトした。

藤波はバックステージで取材に応じた。「しばらくリングから離れていたし、練習もちゃんとできず、ちょっと浮き足だってました」。自分が統率する団体ドラディションとして、この2年はコロナ禍で満足な興行が打てなかった。11月9日に東京・後楽園ホールで今回のツアーの第2弾を行う。「来年いっぱいを50周年ツアーに充てて、フィナーレにはぜひ、自分にゆかりのある外国人選手を日本に呼びます」と新たなプランを披露した。

気が遠くなるほどの月日を、プロレスで生きてきた。「50年もやれて幸せの一言に尽きます。でも、僕は言っちゃいけない言葉がつくほどプロレスが好き。お客さんが喜ぶ顔を見るのがたまらなく好き。僕以上にプロレスが好きでリングに上がりたいと思っている選手も呼んで、まだまだ頑張ります」と汗だくの笑顔を見せた。