WBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(33=英国)が王座統一&2度目の防衛に成功した。同級暫定王者ディリアン・ホワイト(34=英国)との団体内王座統一戦に臨み、6回2分59秒、TKO勝利を飾った。

ワンツーを続けてホワイトの体力を削ると、右アッパーでダウンを奪った。よろめきながら立ち上がってきたホワイトはレフェリーに止められた。

サッカーの聖地に集結した9万4000人の観衆を驚かせたフューリーは「まず、この試合は神にささげます。この栄光、すべて神があってこそ。イングランドのみなさんに、この試合をささげたい。9万4000人のみなさんの前でパフォーマンスしたことを心から感謝したい」と絶叫した。

果敢に攻めてきた暫定王者に向けて「ホワイトは戦士、世界王者だ、素晴らしいファイターだ。しかし最高の戦士はオレだ。油断はしていないし、リスペクトしている。ただのヘビー級ではこんな試合はできない」と負けたホワイトにエールを送った。

フィニッシュパンチの右アッパーについて「これだけいいパンチはなかったかも」と自画自賛した。

3月のホワイト戦発表会見からフューリーは「最後の戦い」と主張し続けてきた。「これは私のキャリアの最後の戦い。これで引退する」とパリス夫人と6人の子供との生活を優先させるとしてきた。

試合後、フューリーは「パリスには、この試合が終わったら引退すると話していた。素晴らしい3部作でワイルダーと戦い、ウェンブリーでも試合ができた。まだみなさんに『借り』がある。でもここで戦えたことで返した部分もある。ラストと言うと思う。だからこそ大きな感謝を述べたい」とリングを去る可能性を示唆した。

今年1月に3100万ポンド(約51億円)で入札されたビッグカードはフューリーが圧倒的な強さを示した。プロモーターのフランク・ウォーレン氏は「これがラストマッチ。タイソンが決断すれば最後だ。素晴らしいボクシングをみせてくれた。信じられないパフォーマンスだった。欧州では史上最高の観客数だった」と満足げだった。