新日本プロレスの最強決定戦「G1クライマックス32」が、16日に北海道・北海きたえーるで開幕する。団体創設50周年を迎える今年のG1は、出場選手数・規模とともに史上最大級となる。大張高己社長(47)は「新日本の未来を左右するG1」と位置づけた。その理由を聞いた。

    ◇    ◇    ◇

G1が、3年ぶりに真夏に帰ってくる。史上最多の28人が出場、22年ぶりの4ブロック制の復活と、最大規模での開催となる。大張社長は「出し惜しみは一切しない」と断言。「ベストな状態まで華やかにできるということもある。向こう3年、新日本の未来を左右するG1だと思っている」と、今大会の意義を熱弁した。東京五輪開催や新型コロナの流行による影響で、19年を最後に秋開催が続いていた。団体創設50周年、コロナの規制緩和を受け、勝負に出る。

史上最大-。理由の1つに、コロナに苦しんだこの2年間からの脱却がある。コンセプトはコロナ禍ではかなわなかった、日本と米国の新日本、海外他団体、その3つの軸のクロスオーバーだ。ニュージャパンカップ覇者のザック・セイバーJrやIWGP世界ヘビー級王者ジェイ・ホワイト、USヘビー級王者ウィル・オスプレイ…。日本でもおなじみの選手たちに加え、多くの海外勢の参戦が可能となった。

外国人選手は28人中14人。米国の新日本で活躍してきたトム・ローラーやジョナ、デビッド・フィンレーらが満を持して初参戦。米AEWで活躍するランス・アーチャーも3年ぶりにやってくる。コロナ禍で会場から足が遠のいてしまったファンもいる。えりすぐりのメンバーをそろえ、「(ファンに)来場する習慣を取り戻してもらいたい」と大張社長は期待を込めた。

もう1つの理由は、新日本50周年を象徴する大会にしたいという願いだ。リーグ制になって久しいG1だが、トーナメント方式で開催された過去もある。92年の第2回大会では、のちに歴代最多5度の優勝を重ねる蝶野正洋が連覇を達成。武藤敬司やリック・ルードらを下し、一度限りの過酷なトーナメントを駆け上がった。

今回のG1で、その緊張感を再び復活させる。32度目の今回は、リーグ・トーナメント制の両方を楽しめる仕様にした。4ブロック7人の選手がリーグ戦で激突。8月17、18日の東京・日本武道館大会で各ブロックの1位がファイナルトーナメントを戦い、優勝を決める。大張社長は「歴史のすべてを体感できる。歴史の両面をぜひ体感してほしい」。看板の「記録的猛勝負」に、偽りはない。

観客動員数は、昨年の2・8万人から倍増近くの5万人超を目指す。開幕を前に、チケットはすでに3万枚が売れるなど好調だ。初来場の観客にも「今回のG1はずっと見ていなくてもおもしろい」と、盛り上がりを約束した。50周年プレミアム版のG1。その幕がいよいよ開く。【勝部晃多】