元年俸120円Jリーガーで20年末から格闘家に転向した安彦考真(44)が26日、東京・恵比寿のHemp Cafe Tokyoで、新たに立ち上げた「ヴィーガンバーガープロジェクト」開始記念イベントを開催した。

安彦はJリーガー時代の2020年3月からヴィーガン(完全菜食主義者)として生活している。以降は幼少期から悩まされてきた花粉症が治り、体のあざが消え、年齢を重ねてもキレが増す手応えを感じているという。今でも継続中で、この日はインスタグラムなどの募集で集まった約20人の参加者に特製ハンバーガーを振る舞った。

「今、僕が動けているのは間違いなくヴィーガンのおかげ」と語り「合う合わないがあるので、ヴィーガンになればいいという話ではないですが、みなさんも体の見えない部分に目を向けて自分に合った食生活を見つけてほしい」と呼びかけた。

プロジェクトは約1年ほど通っているというHemp Cafe Tokyoオーナーシェフの宮内達也さん(32)にアイデアを持ちかけたことがきっかけ。「ヴィーガンじゃない人も食べやすいように」(宮内さん)とハンバーガーを考案した。安彦は「僕は日本の社会を変えたいと思っている。このプロジェクトもそのための第1歩。『五感を取り返そう』がテーマです」と力を込めた。

ハンバーガーはフライドチキン風に味付けされた、まいたけのフライに、ケール、トマト、ミントなどを挟んだヘルシーなものとした。バンズにもこだわり、栃木県・足利市内でグルテンフリーのパン屋「お米ぱん 八」を営む知人の小松原純也さん(48)が作った添加物や油を一切使用していない米粉パンを採用。安彦はJリーガー時代に知人を通じて現日本代表MF三笘薫(25)や田中碧(24)と食事をした際のエピソードも紹介し、「三笘君もあまり肉を食べていないと言っていました。トップアスリートもみんな食事に本当に気を使っている」と語った。

サッカー界ではリオネル・メッシ(35)がヴィーガン生活に似た植物性食品中心のプラントベース生活に変えたことで故障が減ったという有名な話もある。今は格闘家として奮闘する安彦も40代半ばを迎えても体脂肪率1桁台をキープするなど、ヴィーガン生活が肉体維持に役立っているという。現在の目標は大みそかに行われる格闘技イベント、RIZINへの出場。安彦は「年末までにあと2試合はしたい。僕はまだ諦めていない」と意気込んだ。

◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結んだが開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退するも17年夏に39歳で再びプロ入りを志し、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年にJ3YS横浜に移籍。同年開幕戦の鳥取戦に41歳1カ月9日で途中出場し、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。20年限りで現役を引退し、格闘家転向を表明。同年12月には初の著書「おっさんJリーガーが年俸120円でも最高に幸福なわけ」(小学館)を出版。オンラインサロン「Team ABIKO」も開設。21年4月にアマチュア格闘技イベント「EXECUTIVE FIGHT 武士道」で格闘家デビュー。22年8月に同大会75キロ以下級の王者に輝いた。プロとしては22年2月16日にRISEでデビュー。同6月24日のRISE159にも出場し、プロ2連勝中。175センチ、74キロ。