スズメバチのように一撃必殺で仕留める。5月5日後楽園大会のインターナショナル・プリンセス選手権試合で初のタイトル獲得を狙う鈴芽が「リカさんを振り向かせたい」と闘争心を見せた。プロレスラーになるきっかけとなった、あこがれの辰巳リカに対し「肩を並べたい」と初のベルトに意欲を見せる。

鈴芽の由来は「すずめ」ではなく「スズメバチ」。「毒針とか持って危険なイメージがあるので。一撃で刺す感じ」と、かわいらしい風貌からは想像できない言葉だった。体つきは東京女子の中でも小さい方。学生時代は「あまりみんなの前に出るタイプではなかった」という鈴芽だが、リング上では闘争心を全面に出し、鬼の形相を見せる時もある。

社会人になりたてのころ、友だちに誘われ、試合を見て辰巳のファンになった。目立ったスポーツの経歴もなければ、アイドル経験者でもない。「何にも持っていない私だったけど、人生で一番あり得ないプロレスラーになった」。厳しいトレーニングを耐え抜いて成長し、今度はベルトを巻いているチャンピオンの辰巳にあこがれた。シングルでは今回で5度目の対戦。昨年7月のトーナメントでは勝利。「自分の戦い方が間違っていない。今回もリカさんに勝つ道がある」と自信を見せる。

22日の前哨戦ではほとんど相手にされなかった。「余裕を見せられた」と悔しがる。実力、経験で劣ることは承知の上で戦いを挑んだ鈴芽。数少ないチャンスを生かし「あり得ない」プロレスラーに導いてくれた辰巳に襲いかかる。得意技のドロップキックは精度も高さも自信を持つ。敗れはしたが、この日の試合でも鳥喰かやに強烈なダメージを与えた。「スズメバチっぽいですよね」と不適に笑った。“毒針”でスズメバチが一発逆転を狙う。【松熊洋介】