WBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(32=BMB)が、KOでの防衛に意欲を示した。23日にエディオンアリーナ大阪でWBA同級1位、WBC同級2位の元WBA王者カルロス・カニサレス(30=ベネズエラ)の挑戦を受ける。22日、大阪市内で前日計量に臨み、48・7キロで一発クリア。計量後のルールミーティングで、統一戦としては異例のWBC公開採点、さらにWBC製作の棄権タオルの投入が採用されることが決まった。

    ◇    ◇    ◇

ライトフライ級最強を目指す寺地が「過去の悪夢」も受け入れた。ルールミーティングでWBCが提言したオープンスコアを受諾。陣営の寺地永会長は「特に断る理由はない。倒すことしか考えてないんで」と言った。

寺地にとって同ルールは初黒星を喫した苦い思いがある。21年9月、矢吹正道に10回TKO負けした。この試合後、途中採点でリードされていたことも精神的に影響したと明かしていた。今回は4、8ラウンド終了時にそれぞれ採点が発表されるが、受け入れたのは自信の表れともいえる。

1階級上げてのフライ級転向も今後の選択肢にあげるが、この一戦に向けた減量を楽にこなしたという。「最後もスムーズに落とせたし、いい感じ。いつもは声がかすれたりするけどそれもない。体調はすごくいい」と明るい表情をみせた。

勝てば世界戦通算14勝目で、元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高に並ぶ日本歴代3位となる。さらに4戦連続中のKO勝利更新の期待も高まる。「(世界戦通算勝利の記録は)意識していないけど、KOはしたいと思っている」とし、「練習ではしっかりできている。勝てるように加藤トレーナーに仕上げてもらった」と自信を示した。

体重の壁はなく、現級での4団体統一の目標はあきらめていない。計量後はカップのインスタントみそ汁をすすり、「しみる~」と拳四朗スマイルを振りまいた。計量後の“勝つメシ”も「和食ですね。それが一番。年齢かな」と、かつては定番だった高級焼き肉弁当からの大転換。大人になった男が、今後を占う戦いに臨む。【実藤健一】

 

○…寺地-カニサレス戦ではWBCの強い要望を受け、棄権を申し出る同団体独自のタオル投入の採用も決定した。目立つレッドのタオルで「STOP」を大きくプリントされている。これまでWBCではタオル投入を禁止していたが、昨年11月の年次総会を契機に採用を進める方向となり、海外では既に実施されているという。JBC安河内本部事務局長は「誰が投げ入れたか分からないこともあるので(独自タオル導入は)分かりやすくなるのでは」と説明した。

 

○…寺地に挑戦する元WBA王者カニサレスはリミットより100グラム少ない48・8キロでパスした。控室で水分補給しながら「コンディションはいい」とうなずいた。フェースオフでは両手を腰につけて堂々とにらみつけ、自国国旗を高々と掲げて王座返り咲きへの意欲を示した。日本人戦2勝1分けと負けなしの「日本人キラー」らしい、堂々とした姿を誇示した。

寺地拳四朗、元世界王者カニサレスと防衛戦/ライブ速報