手本となる字を見ながら色紙に書いた。実は何度か試し書きをした。「成」。横綱白鵬(30=宮城野)が迷いながら選んだ字。初めは「成功」「達成」から来たものだと思っていたが、そうではなかった。

 「今年はモンゴルから国民栄誉賞(労働英雄賞)をもらって、認められた1年ということもあったし(9月場所で)休んだことも成長の1つだった。今年の漢字1文字は、成長の『成』でいいんじゃないかな」

今年の1字に選んだ「成」の字を掲げる白鵬
今年の1字に選んだ「成」の字を掲げる白鵬

 初場所で大鵬の持っていた史上最多32回の優勝を塗り替えて始まった1年。その場所後には審判部を批判して物議を醸した。それでも、春場所で34度目の優勝。ギネスブックにも載った。

 だが、9月場所では初日から連敗し、3日目から9年ぶりの休場を経験した。昇進以来続いていた横綱としての連続出場は722回で止まり、幕内連続勝ち越し、連続2桁勝利も51場所でストップ。そういった大きな浮き沈みを経験して、得たものがあった2015年だった。

 「(横綱として)初めての休場にも対応できたし、最近の世間の目にもね(笑い)。ケガも、今まで大関のときや関脇でもケガをして、そこで必ず成長させてくれた。ケガすることは、いいことではないけど、今までがそうでしたから。今年は横綱としての成長があった。達成感もできたし、新記録もつくったしね」

 最強横綱の来年は、どんな年になっているだろうか。【今村健人】