陥落した幕下で6場所目を迎えた西幕下17枚目の豊ノ島(34=時津風)が、4場所ぶりの白星スタートを切った。

 今場所1番相撲の相手は、同じ東17枚目で十両経験者の徳真鵬(33=木瀬)。230キロの巨漢力士相手に、うまくさばいた。「大きい人は逆に圧力をかけられて、のけ反ったら残り腰がない。圧力をかけて行こうという理想の相撲だった」と振り返るように、適度な距離をとりながら、左右のはず押し、おっつけで後退させ押し出した。

 「初日はいつも緊張でガチガチだった」と話すように、最近は3場所連続で1番相撲で敗れていた。「今日は自信を持って思い切り取れた」という裏付けは、場所前の充実した稽古と体調管理、そして精神的な開き直り。「今回が(関取復帰の)ラストチャンスと思って納得いくように稽古してきたつもり。“これだけやって負けたら仕方ない”と思えるぐらい吹っ切れて仕上げられた」と話す。

 食事制限に加えトレーニングの成果で、体重も5キロほど落とし155キロ前後。「おなかばかり大きくなると腰や足に負担がかかるから」という狙いで取り組んだ。「確実に引退が近づいている中で今まで以上に喜び、楽しみながら相撲を取ろうと思っている」。精神状態も、これまでになく前向きな姿勢を保ちながら、残り6番に臨む。