関脇栃ノ心(30=春日野)が意地を見せ、全勝の横綱鶴竜に土をつけた。立ち合いで前みつを許したが、自分も左まわしをつかんだ。「絶対離さない」と握り締め、右も差して、万全の右四つ。「ああなれば勝負できる」と、横綱を怪力で封じ込めて寄り切った。

 過去1勝21敗。初優勝した先場所も唯一敗れた天敵を破った。10日目に豪栄道、11日目に高安と、大関に連敗した直後だった。「落ち込んだけどね。黒星が白星にはならないから」と気持ちを奮い立たせた。

 通算10場所目の三役で、10勝5敗だった15年秋場所以来2度目の勝ち越しを決めた。先場所は14勝。大関昇進のノルマは「三役で直近3場所33勝以上」。「三役」こそ満たさないが、優勝も絡んでおり、インパクトは十分にある。栃ノ心は「大関」という言葉こそ口にしなかったが「勝つことだね。10番以上勝ちたい」。残り3日全勝の11勝を目指す。