大相撲の横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が引退を決断したことを受け、兄弟子の西岩親方(元関脇若の里)が16日、東京・両国国技館で「残念な気持ちと、仕方ないという気持ち。横綱になってから結果が出なくて苦しんだと思うが立派な横綱だった」とねぎらった。

15日の夜に稀勢の里から電話があり、引退の意向を聞いた。電話越しのため、稀勢の里の様子は分からなかったという。稀勢の里はすでに年寄「荒磯」の名跡を取得しているため「これから指導者になって堂々と歩いてほしい」と、本人に伝えた。引退の意向を聞いた瞬間、15歳で入門してきた当時を思い出した。「あれだけ意志の強い15歳はいない。みるみる強くなってあっという間に追い越された」。懐かしむように、神妙な面持ちで語った。

稀勢の里は昨年の秋場所千秋楽から、15日の初場所3日目まで3場所にわたり8連敗(不戦敗を除く)となり、横綱としては貴乃花を抜いてワースト記録となっていた。実力の衰えも指摘される中、西岩親方も「一番良いときに比べればね」と否定しなかった。8連敗中は左四つにこだわる場面が目立ったが「僕は常々稀勢の里に『稀勢の里の一番の長所は左四つじゃなくて突き押しだよ』と伝えた」と同親方。「突き押しがあったからスピード出世もできて、横綱になれたと言い続けたんだけどね…。本人の体調もあったと思うけど」と残念そうに語った。