勢は11連勝で14日目にして、2度目の十両優勝を決めた。隆の勝に頭で当たり、激しい突き押しの攻防から、右に体を開いて押し倒した。直後、土俵上で右手を横にグイッと振って、あふれる喜びを表した。

「最初は立ち合いのイメージがわかず、仕切りで頭からかまそうと決めました」。

新十両だった11年九州場所以来2度目の歓喜だが「優勝より、連勝の方で緊張した。新十両の時は確か8連勝で、いつまで続くかと…」と苦笑いした。モットーは勝ち負け問わず、1日一番、全力で前に出る相撲をとる。「その積み重ねですね」。それでも、8年前とはひと味違う。「あの頃は大きなケガもなく無我夢中。今はいろいろ経験したんで」。幕内で通算41場所を経験、関脇も務めながら、今年春場所で左膝下に蜂窩(ほうか)織炎を発症。一歩間違えば命に関わるほど血中の数値が悪化し、2勝13敗で十両に陥落し、3場所目でやっと体が動きだした。

「まだ回復の途中です。出る以上は当然、勝ちを目指して頑張ります」。来月11日には33歳。ベテランの幕内返り咲きへ、弾みがついた。