大相撲秋巡業が7日、富山・砺波市で行われ、同県出身の前頭朝乃山(25=高砂)が凱旋(がいせん)した。秋場所では幕内上位で10勝、殊勲賞も獲得。夏場所の初優勝からさらに実績を残した影響か、終始サインや写真撮影などを求められる人気ぶりだった。

会場入り口前には異例の「朝乃山グッズ販売所」が設けられ、しこ名入りのタオル300枚、バスタオル100枚は1時間以内に完売。取組前には勧進元のJAとなみ野から地元産の米100キロ、砺波市の特産品「雪たまねぎ」100キロが贈呈されるなど手厚い“おもてなし”を受けた。

地元ファンに対して朝乃山は「市内から遠い中で足を運んでくださり『お忙しい中ありがとうございます』と言いたい。(本場所でも)頑張っている姿を見せられれば」と、感謝の思いを口にした。

前日6日には、懐かしの味を求めて故郷に戻った。金沢市で行われた巡業後、午後5時頃に宿舎に到着すると、夕方にもかかわらず約40分かけて実家からほど近い定食屋「丸忠食堂」へ足を運んだ。幼い頃から慣れ親しんだ店で、実家に戻るたびに行くという。「(6日は)唐揚げ定食、ラーメン、昆布おにぎり、エビフライ…他にもたくさん食べました」。胃袋を満たし、残りの巡業へしっかりと英気を養った。

九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)に向けて、巡業では可能な限り土俵に立つ覚悟だ。この日の朝稽古では、幕内力士による申し合い稽古に初日から3日連続で参加。阿炎、碧山らと12番取った。絶対的な右四つ、左上手を武器に6連勝を含む計10勝。「巡業で稽古する中でしっかりと体に身についている。この自分の型をもっと伸ばしていければ」と胸を張った。

「体がなまらないように、相撲勘を落とさないようにしたい。九州は今年最後の場所になるので、しっかり勝ち越して、早く三役になれるように頑張りたい」

次代の大関、横綱候補に挙げられる大器は、着実にステップアップするつもりだ。