日本相撲協会は27日、福岡市内で来年1月の大相撲初場所(12日初日・両国国技館)の番付編成会議を開き、大関経験者の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)、小結経験がある千代鳳(27=九重)ら5人の再十両を決めた。三役経験者の三段目以下降格後の十両復帰は明治以降、2、3人目という異例の復帰劇となった。新十両はなく30場所ぶりの魁(33=芝田山)、美ノ海(26=木瀬)、朝玉勢(26=高砂)が返り咲いた。

再び大銀杏(おおいちょう)を結える。締め込みも化粧まわしも、日の目を見る。感慨を胸に照ノ富士のコメントは控えめだ。「あらためて気が引き締まる。今よりも前よりももう少し頑張らないといけない」。

7戦全勝で条件クリアの九州場所13日目から5日後の吉報。今年1月、周囲に引退をもらした男には感謝の言葉しかない。「親方やおかみさん、落ちても変わらず応援してくれた方々の支えがあった。ファンからの声援も大きかったのでもう1回、皆さんに恩返ししたい気持ちで頑張った」。

大関在位14場所、優勝1回、優勝決定戦2回、優勝次点2回。大阪で新横綱稀勢の里の“敵役”となったのは、まだ約2年半前のこと。だが、横綱候補の前途は両膝の手術、糖尿病で暗転した。「やめたら後悔する」という師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)らの支えで、3月の春場所で5場所ぶりに土俵復帰。大関経験者が幕下以下で相撲を取るのは初めてだった。

邪魔するプライドも忘れ序二段から、ひたむきに取った5場所を32勝3敗で駆け上がった。10場所ぶりの関取復帰に「15日間、出る以上は精いっぱい力を出し切って頑張りたい」。十両を3場所通過なら、目標の「東京五輪時に幕内力士」という次なる夢がかなう。