東十両3枚目の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は、大翔鵬を寄り切って好発進した。立ち合いで得意の右四つに組むと、そのまま危なげなく快勝し「よかった」と、胸をなで下ろした。

無観客開催となったが「もともと緊張しない」と、落ち着いて取り切った。「稽古場みたいな感じで落ち着いてやれた」と、土俵に集中していたという。ただガランとした客席は「さみしい感じだった」とも振り返った。「声援があるから相撲をやってきている。応援してくれる人たちがいるから、ここまでやってくることができた。(声援が)ないとさみしいけど、テレビで見てくれていると思うので頑張りたい」と力説。幕内優勝も大関も経験しながら、相次ぐケガや病気で一時は序二段まで番付を下げたが、変わらず応援し続けてくれた人への感謝を思い返していた。

それだけに、客席が戻ってくる可能性のある来場所を幕内で迎えたい気持ちもある。「幕内を目指して頑張っていきたい。できれば今場所で決めたいけど、ダメなら来場所でも。幕内で元気に相撲を取っているところを見せたい。(幕下以下に)落ちた時も応援してくれた人たちがいるから」。誰よりもケガや病気の怖さを知るだけに、焦らずに一歩ずつ幕内返り咲きを狙っていくつもりだ。