豊昇龍(22=立浪)が初めて貴景勝を撃破し、新小結1勝を手にした。土俵際まで押し込まれたが、大逆転のすくい投げで初日からの連敗をストップ。物言いがつく際どい勝負だったが、行司軍配通りだった。

土俵下でうずくまる石浦、見つめる琴ノ若、若元春は鼻血出る激しい相撲…/春場所3日目>>

叔父は元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(41)。場所前には電話で激励の言葉をもらっていた。新大関の御嶽海が無傷の3連勝、正代と貴景勝のかど番2大関はともに敗れた。

   ◇   ◇   ◇

まわしに手は届かなかった。豊昇龍には「つかまえた」感覚があった。貴景勝に立ち合いから一気に踏み込まれつつも、右を差して倒れ込みながらすくい投げ。物言いがついたものの協議の結果は軍配通り。貴景勝には4度目で初勝利となり「何より勝って良かった」と笑みがこぼれた。

17年九州場所の初土俵から約4年で新三役の地位を射止めた。初土俵から2年余りだった叔父の元朝青龍ほどではないが、今場所の三役以上では最年少。「目指しているのはテッペン。小結で終わるわけじゃない」。将来の横綱、大関候補は、強い出世欲がある。

体重増加が成長を促す。「相手に押されなくなった」と自身でも驚く。新弟子時代は100キロ超だったが、現在は約140キロ。食の細さを理解し、日々のちゃんこ以外に1日1杯のお茶漬けを欠かさない。好きなのは母国モンゴルの料理「ツォイバン」。肉と野菜を炒めて麺とともに蒸す。日本でいう焼きそばで「しつこくなくてたくさん食べられる」。部屋で自ら作ることもあり、増量に一役買っている。

場所前には電話で叔父から「上位の人たちと全員対戦して、どんな人がどんな相撲を取るか分かってるでしょ。あとは君次第だよ」と柔らかな口調で励まされた。今場所は連敗発進も「負けを気にせずに頑張っていきたい」。上位の壁を前向きに乗り越える。【佐藤礼征】

大相撲星取表はコチラ>>