日本相撲協会は26日、来年1月の大相撲初場所(8日初日、両国国技館)の新番付を発表し、若元春(29=荒汐)が新小結に昇進した。

所属する荒汐部屋からの三役昇進は21年名古屋場所の弟の若隆景以来で、兄弟三役の誕生は91年九州場所の若花田・貴花田以来となる史上4組目。「まだ現実味が湧かないというか、上がったと聞いてびっくりしました」と率直な感想を述べた上で、「攻め込まれても、相手の相撲でも負けない人こそ三役。しっかり強い三役になりたい」と初場所への抱負を述べた。

31年ぶり史上4組目の兄弟三役について若元春は「名誉なことだと思いますが、(他の方々が)ビッグネームすぎます」と恐縮しきり。兄弟ともども今後さらに注目を浴びる存在になるが、いつもの調子を崩さない。「僕はマイペースですし、うちらはうちらのペースでやれたら」と気負わず向かう。

新入幕の初場所で9勝を挙げ、秋場所と九州場所では2場所連続10勝。上位初挑戦の名古屋場所こそ6勝9敗と負け越したが、5場所で勝ち越し。磨いてきた実力を遺憾なく発揮した。ただ、本人の受け止めは少し異なる。「死に物狂いで毎日相撲を取っていた。その場、その場で必死だった」。目の前の一番に集中したからこそ、結果がついてきたと受け止めた。

年6場所全てで幕内で相撲を取り続けた2022年について「躍進できた1年。自分の相撲人生の中で間違いなく一番良い人生でした」。弟の若隆景が春場所を制し、1年の締めくくりの九州場所では友人の阿炎(28=錣山)が初優勝を飾った。「身近な人が優勝して、かっこいいなと思いました」とうれしそうに笑った。今年5月には子どもが生まれ、私生活でも変化があった。家族や周囲の支えがあってこそ、相撲を取れることを日々実感する。

新たな地位でスタートする23年。さらに番付を上げることを期待される中でも、本人は「いつでも今が最高位と思っているんで」と現実主義者の姿勢を崩すことはない。「(22年に)躍進したから、次の年はなんなんですかね…。公私ともにさらに充実できたら良いですね」と言葉をひねり出した。【平山連】