日本相撲協会は26日、大相撲名古屋場所(7月9日初日、名古屋・ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表した。

十両2場所目の夏場所で優勝同点の14勝1敗と好成績をあげた落合あらため伯桜鵬(はくおうほう、19=宮城野)が西前頭17枚目で新入幕を果たした。幕下15枚目格付け出しの初土俵から所要3場所での入幕は、遠藤に並ぶ昭和以降最速タイのスピード。愛知県豊田市内の部屋で、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)も同席して会見に臨んだ。

新しいしこ名を「まだ慣れない」と照れ笑いの伯桜鵬は「すごく気に入っている。新鮮な感じがします」と表現した。新しいしこ名は先場所14日目の取組後に師匠らと相談して決めたという。「地元の(鳥取県)倉吉市は『伯耆国(ほうきのくに)』と言われる。その伯を入れたく、小学校の大先輩で横綱になった琴桜関(先代佐渡ケ嶽親方)の名を冠した大会に自分の原点がある。その2つを入れることができた」。宮城野親方は「(候補は)10個近くあったが最後は2つに絞った」と桜伯鵬との2択で決めた経緯を明かした。

新入幕場所では師匠が敢闘賞を受賞した星数と同じ12勝を目標に掲げた。「(初土俵から)3場所を振り返ると満足できるが、これからはそう甘くない。自分に厳しくをモットーに。祝福されてうれしいが『勘違いしない』『調子に乗らない』をかみしめてやっていきたい」と浮かれた様子はかけらもない。

師匠の期待も大きい。「学生出身の付け出しで横綱になったのは輪島さんだけ。身についたアマチュアでの癖というのは簡単には抜けないもの。その中で輪島さんは『黄金の左』という型を磨いて横綱になった。(伯桜鵬も)自分の型というものを磨いていってほしい。体重もあと10~20キロほしい」と課題を与えた。

1つの理想型として、大横綱千代の富士の相撲をあげた。「千代の富士さんも体は小さいのに前みつを取って一気に走る型があった。(伯桜鵬の方が)体重はありますから。(千代の富士が)どうしてああいう相撲を取れたのか。突き詰めて作り上げていきたい」。伯桜鵬も「(幕内力士は)大きいのでがっぷりでは勝てない。相手より低い、鋭い立ち合いもひとつの型。師匠と相談して磨いていきたい」と意欲を示した。

対戦したい力士には「小さいころから見ていた大相撲。師匠が現役時に対戦した方もいる。その力士と対戦できるのは怖さもあるが感慨深い」と話す一方、「師匠から『土俵の上ではあこがれを捨てて勝つことが大事』と教えてもらっている」。野球のWBC決勝戦前に大谷翔平が選手にかけた言葉と同じ。あこがれは捨てて全力でぶつかる。【実藤健一】