大相撲で昨年夏場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ大の里(23=二所ノ関)が昭和以降2位のスピード出世となる、所要6場所で新三役昇進を決めた。

日本相撲協会は4月30日、夏場所(12日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表。大の里は西前頭5枚目だった先場所、千秋楽まで優勝を争う11勝4敗で西小結に番付を上げた。茨城・阿見町の部屋で行った会見で、まげ姿も初披露した。新入幕は欧勝馬(鳴戸)と時疾風(ともに27=時津風)の2人だった。

正面からは確認できないほどの小ぶりな、ちょんまげだった。幕下付け出しデビューから所要6場所での新三役は、昭和以降2位のスピード昇進の大の里は、ぶっつけ本番、約10分間かけて床山に初めてまげを結ってもらった。

逸ノ城の所要5場所に次いで早い新三役。まだ大銀杏(おおいちょう)を結うには半年ほどかかる。珍しい“ちょんまげ三役”は「いよいよ、これからだなという気持ちになったし、お相撲さんにようやくなれた」と喜んだ。

実力は折り紙付き。新入幕から2場所連続優勝争い。初場所は敗れたが照ノ富士と対戦し、新入幕として10人目の横綱挑戦も。新入幕から所要2場所で新三役は1958年の年6場所制以降では北の富士、大錦、逸ノ城の同1場所に次ぐ4位。先場所は尊富士に史上初の“ちょんまげ優勝”をさらわれたが「優勝が夢から目標に変わった」と近づいた実感はある。

ただ、同席した師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「今のままでは大関は見えない」と厳しく話した。技術、体力、経験の不足を指摘。会見冒頭では大の里が20歳未満の幕下以下力士と飲酒し、厳重注意を受けたことを師弟で謝罪、頭を下げた。師匠は「相撲道にまい進」、自身は「勝つ姿を土俵の上で見せる」と誓った。今場所はみそぎの思いも強い。

「初詣の『三役になりたい』という今年の願いが早い段階でかなった。全く想像していなかった」。西小結は慣例に従えば初日に番付最上位と対戦。出場すればいきなり照ノ富士戦が濃厚だが「想定はしている。序盤の5日間が勝負」。初日から場所の主役に躍り出るつもりだ。【高田文太】