大喜利が得意で、タレント活動も顕著なNMB48の渋谷凪咲(26)が7日、大阪・NMB48劇場の公演で、グループからの卒業を発表した。

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NMB48からの卒業を発表した渋谷凪咲(26)は、エースではない。グループでの表題曲センターも、最後の卒業シングルで初センター。でも、NMB48だけにとどまらず、今のAKB48グループにとっても大きな「看板」に相違ない。

不思議でクレバー。16歳で加入した当初からの印象がこれだった。

12年12月に4期生としてお披露目。当時は山本彩、渡辺美優紀の両輪がいて、2期の矢倉楓子ら、3期の薮下柊ら、次世代エースに期待されたメンバーがいた。

そんな中、加入半年で、AKB48グループの研究生ユニットに抜てきされた4期生。13年末のAKB48グループじゃんけん選抜のシングル曲カップリングでは、単独センターに抜てきされた。山本、渡辺も参加した楽曲で、2人以外がセンターに立つのは初めてだった。当時の運営スタッフに「どんな子?」と聞けば、「うーん、なんか、不思議なんですよね」と返ってきた。

NMB48では、14年の9枚目シングル「高嶺の林檎」で選抜メンバーへ入った。キレ味抜群のダンサー山本、アイドルらしい柔らかい踊りの渡辺が先導していたNMB48は、48グループでも難易度の高い振付で知られていた。ダンサーというわけでもない…が、丁寧なファン対応で、そのスタッフは「握手会の行列が長くて、さやか(山本)みたい」とも言った。

AKB48グループ全体でも握手会人気トップクラスだった山本彩を引き合いに出された新星。会ってみれば、芸人に「枕営業で(選抜総選挙の)得票をねらえ」といじられても、平然と笑って受け流すハートの持ち主だった。

つかみどころのないキャラ。15年のAKB48グループ選抜総選挙で、初めてランクインし、取材した時に感じたのが「クレバーさ」だった。個性豊かな先輩の中で、自分の個性をどう発揮するか-。悩んだ結果のランクインだった。

山本から丁寧なファン対応と、徹底した自己管理を学び、渡辺からアイドルとしての見せ方を盗んだ。

渋谷 去年、総選挙に入れなくて、自分を見つめなおして、すべて変えなきゃいけないと思った。前にいる先輩の姿を見ることから始めて。普段の様子から観察して、パフォーマンスも見て、映像も見て、フリーの場面、ライブでのあおり方とか、目を引くための努力があるって分かった。

自分が出演した公演のDMM配信を見て、自分へダメ出し。他メンバーの長所をメモにとり、バラエティー番組でもトークの返し方を細かく確認した。

話芸を磨こうと、R-1ぐらんぷり(当時)にも挑戦した。関西時代から仕事をともにしていた、かまいたち、見取り図らとともにじょじょに全国バラエティーへ進出し、当意即妙の返しで、立場を不動にした。

大喜利番組でも活躍し、「お笑い怪獣」明石家さんまからも、番組内での話の入り方で“注意”されるなど、芸人と対等の立場で扱われるほどになった。

それでも、アイドルとしての清廉さが失われることはなく、山本と約束した「ファンを裏切らない」精神を貫く。不思議、天然キャラだけでは収まらない。クレバーさが渋谷の成長の源だと思う。【元NMB48担当・村上久美子】

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