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石原裕次郎賞ー「劔岳 点の記」木村大作監督

木村大作監督
PRポスターの前で笑顔を見せる木村大作監督(撮影・野上伸悟)
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【受賞発表記事】

 明治時代末期の山岳測量隊の苦闘を描いた「劔岳(つるぎだけ)点の記」が、石原裕次郎賞に選ばれた。日本映画界を代表する名カメラマンの木村大作氏(70)が初監督を務め、富山県の劔岳で計200日間の長期ロケを敢行。標高約3000メートルに達する危険な山道を実際に登り、リアリズムを追及したことが高く評価された。

 木村監督は撮影中から、石原裕次郎賞の獲得を目標に据えていたという。「この作品は、石原裕次郎賞にピッタリだ。撮影が始まった時には、そんな話が出ていたからね。完成して試写会を見て、『1番取りたいのは石原裕次郎賞だ』って言ってた。それが来ちゃったわけだよ。うれしいね」。これまで「劔岳」も含めて50本の作品を撮り続け、映画大賞の会場には何度も足を運んでいる。スケールの大きな作品が石原裕次郎賞に選ばれていることを、よく知っていたからだ。

 リアリズムを徹底的に追及した。CGを使わず、命綱が必要になる山道を俳優やスタッフと一緒に登り、日本地図完成という使命を果たす明治人の生きざまを描いた。そうやって作り上げた「劔岳」は、裕次郎さんが石原プロという制作プロダクションを立ち上げ、残してきた作品と重なった。「『黒部の太陽』や『富士山頂』、『太平洋ひとりぼっち』とか、みんな本物にこだわった。『映画化なんて、何を考えているんだ』と言われる過酷な作品に、裕次郎さんは挑戦していた。オレもそうだし、オレがやらなきゃ誰がやるんだ」。大自然と向き合い、映画作りに命をかけたという共通点があった。

 06年7月31日に劔岳に初めて登り、企画を立ち上げて以来、873日後の08年12月20日に映画が完成。その間の激闘ぶりが現在、「劔岳 撮影の記」として全国で公開されている。「映画作りの基本とは何かを考えてもらいたい。ストーリー展開と同じ順撮りで、本物の場所を長期間、困難をいとわずに撮る。昨今の映画界は、CGとかごまかしがOKだからね。若いスタッフとはなじまないかもしれないけど、オレは『なじむ必要はねえ』と思ってるんだよ」。昭和の映画全盛期を生きてきた名カメラマンの同監督は、映画作りにかけた裕次郎さんと同じ“志(こころざし)”を持っている。【柴田寛人】

[2009年12月4日 紙面から]

 ◆「劔岳 点の記」 作家の新田次郎氏が77年に発表した同名小説が原作。1907年(明治40)、陸軍陸地測量部の測量手、柴崎芳太郎(浅野忠信)は「日本地図最後の空白地点、劔岳の頂点を目指せ」と命令される。当時、陸軍によって登頂されていないのは、その険しさから「針の山」と呼ばれる劔岳だけ。柴崎らは山の案内人、宇治長次郎(香川照之)らと頂への登り口を探す。

 ◆木村大作(きむら・だいさく)1939年(昭和14)7月13日、東京都生まれ。58年、東宝撮影部にカメラ助手として入社。黒沢明監督の下で映画作りを学ぶ。73年「野獣狩り」で撮影監督デビュー。77年「八甲田山」で日本アカデミー賞優秀技術賞を受賞。81年「駅 STATION」、89年「あ・うん」、97年「誘拐」、01年「ホタル」などが代表作。03年秋に紫綬褒章を受章。

石原裕次郎賞・選考経過
 「劔岳」の苦難に満ちた撮影ぶりが、賞のイメージに合致した。「富山支局にいたことがあるのですが、劔岳は別格。登るなんてとんでもないし、狂気に近い。石原裕次郎賞という名前に合う」(山下修氏)「陰の主人公は木村監督。活動屋として背負ってきたものを若手に受け渡したような作品」(深津純子氏)。「E.YAZAWA ROCK」を推す声もあった。
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石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞(今回は該当者なし)。賞金は各300万円、100万円。




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