84年に公開された「ゴーストバスターズ」は特別な作品だった。ダン・エイクロイドの脚本は文字通り規格外で、リアルな亡霊に漫画チックなキャラが交じり、締めは極め付きにコミカルな巨大マシュマロマンの登場…とコメディー、アクション、ホラーのジャンルを超越していた。キャッチーな掛け声のレイ・パーカー・ジュニアによる主題歌がはまっていた。

ドラッグ・カルチャーの匂いが色濃くにじむ内容は、日本にはなじまないと思っていたが、この年の正月興行で本命の「グレムリン」(スチーブン・スピルバーグ総指揮)を大幅に上回る成績を残している。理屈抜きに楽しい作品だった。

その5年後のパート2以来、実に33年ぶりとなる続編が「ゴーストバスターズ アフターライフ」(2月4日公開)だ。

監督のジェイソン・ライトマンは、父アイヴァンがメガホンを取った第1作の撮影現場を6歳の時に訪れている。「マシュマロマンの爆発でシェービングクリームを浴びせられるスタントマンを見ていました。マシュマロマンのかけらを持ち帰り、高校時代までずっと棚に飾っていたんです」と振り返る。

時間軸は前作をリアルにたどって30年後。舞台はニューヨークから田舎町に移る。祖父が残した古びた屋敷に越してきた母と兄妹。妹の少女フィービー(マッケナ・グレイズ)が主人公だ。この町では原因不明の地震が頻発し、屋敷内には、元ゴーストバスターズの一員だった祖父が残した謎の装置があった。

やがて、祖父が命を懸けて封印したはずのゴーストたちがうごめき始める。フィービーたちは祖父伝来の装置を修復して戦いを始めるが…。

ゴーストバスターズのオリジナル・メンバーはビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、ハロルド・レイミス、アニー・ハドソン。14年に亡くなったレイミスふんしたスペングラー博士がこの祖父という設定だ。ジェイソン監督が父世代へのオマージュとして、設定や細部に思いを込めている。

中でも納屋で眠っていた特別仕様車Ecto-1(エクトワン)を使ったアクションのスピード感は今作の見どころになっている。インディペンデント的な作品で腕を磨いたジェイソン監督の演出はすっきりしていて無駄がない。

新キャストの中では母親役キャリー・クーンの生き生きとしたシングルマザー像がストーリーの芯になっている。そして、オリジナル作の匂い漂う大団円。38年前を思い出して胸が熱くなった。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)