腕利きボディーガードとすご腕殺し屋の迷コンビが国際的な犯罪に立ち向かう。「ヒットマンズ・ワイブス・ボディガード」(公開中)は、最適キャストによるふんだんなアクションを織り込んだ娯楽大作だ。

完全主義者のボディーガード、ブライス(ライアン・レイノルズ)は、ただ1回の失敗が忘れられず、失意の日々を送っている。そんな時に過去に因縁のあった殺し屋キンケイド(サミュエル・L・ジャクソン)の妻ソニア(サルマ・ハエック)が現れ、夫の救出を依頼してくる。激情家のソニアにあおられ、ブライスはいつの間にか国際的な陰謀の渦中に身を投じざるを得なくなる。

冒頭からこれでもかというガン・アクションの連続で展開は目まぐるしい。「エクスペンタブルズ3」(14年)のパトリック・ヒューズ監督は、今回も隙間無くコテコテのシーンを詰め込んでいる。

敵役のギリシャの大富豪(アントニオ・バンデラス)は母国の財政破綻を逆恨みし、欧州諸国をエネルギーパニックに陥れようとする。資金力にモノを言わせ、周囲にはブライスやキンケイドに勝るとも劣らないボディーガードや殺し屋が控えている。そして、陰謀を阻止しようとインターポールも絡んできて…。

レイノルズ、ジャクソン、バンデラスと役者をそろえたハリウッド王道のアクションは外れなく楽しめる。かき回し役として一番生き生きしているのが殺し屋の妻にふんしたハエックで、しっかりしたアゴのラインが役柄にぴったりのタフな感じをにじませている。「エターナルズ」(21)でもヒーローの1人を演じた彼女は今もっとも旬な女優と言えるだろう。

ブライスの「妄想」もしっかりと映像で見せるなど、ヒューズ監督の演出は今回も懇切ていねいだ。

実は、この作品は劇場未公開で17年にNetflixで配信された「ヒットマンズ・ボディガード」の続編だ。同じヒューズ監督によるこの前作は、ベラルーシの独裁者による陰謀を題材にしていた。現実の世界情勢を背景に第3弾もありそうだ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)