今年3月に20世紀フォックスを買収したウォルト・ディズニーが、ハリウッドの映画スタジオとして史上初となる全世界興行収入100億ドルを突破することが確実となりました。2006年に「トイ・ストーリー」シリーズなどで知られるピクサーを74億ドルで買収し、09年には「アベンジャー」シリーズなどで知られるマーベルを、そして15年には「スター・ウォーズ」シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督からルーカスフィルムを40億5000万ドルで買収したディズニーは、「アバター」(09年)や「タイタニック」(97年)など大ヒット映画を生み出してきた20世紀フォックスを713億ドルで買収し、ハリウッドの一大王国を作りあげたことは記憶に新しいですが、今年はそのディズニー帝国がハリウッドを支配した1年でした。

27億9780万ドルの全世界興行を記録して「アバター」を抜いて歴代1位を樹立した「アベンジャーズ/エンドゲーム」(マーベル)を始め、「ライオン・キング」(ディズニー)、「キャプテン・マーベル」(マーベル)、「トイ・ストーリー4」(ピクサー)、「アラジン」(ディズニー)、「マレフィセント2」(ディズニー)が大ヒットしたディズニーは、12月9日時点で2016年に記録した年間76億ドルの過去最高額を大きく上回る92億ドルの世界興行収入をあげています。現在公開中の「アナと雪の女王2」(ディズニー)も大ヒットしている他、20日には「スター・ウォーズ」シリーズ完結編「スター・ウォーズ・スカイ・ウォーカーの夜明け」が公開され、さらに来年の賞レースに絡むことが予想される公開中の「フォードVSフェラーリ」(20世紀フォックス)などの興行がこれに加わると、2019年度の年間興行は最終的には120億ドルに達するのではないかともいわれています。

現時点の今年の興行収入トップ10には、首位の「アベンジャーズ/エンドゲーム」に続き2位に「ライオン・キング」、4位に「キャプテン・マーベル」、5位に「トイ・ストーリー」、7位「アラジン」、8位「アナと雪の女王」と6作品がランクインしており、いかにディズニーの存在感が大きかったのか分かります。しかも、トップ10に入っているこれら全ての作品が10億ドル超えで、まさにハリウッドをディズニーが席巻した1年でしたが、ディズニーにとって今年は新しい動画配信サービス「ディズニー+」を11月12日からスタートさせたチャレンジの年でもありました。ディズニーは「動画配信サービスの戦国時代」ともいわれる競争が激化する中においても初日だけで登録者数1000万人を突破する快挙を成し遂げ、現在一人勝ち状態のネットフリックスを脅かす存在になるといわれています。

来年はマーベルが「ブラック・ウィドウ」を5月に、「エターナルズ」を11月に公開することを発表している他、「ムーラン」(98年)を実写リメークした「ムーラン」、ディズニーランドの人気アトラクションをドウェイン・ジョンソン主演で実写化する「ジャングルクルーズ」などの公開も控えており、ディズニー旋風は来年も続きそうです。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)