年が明けたハリウッドでは、映画の賞レースが本格化しています。10日にはゴールデングローブ賞授賞式が、翌11日には全米俳優組組合(SAG)アワードのノミネート、そして24日にはいよいよアカデミー賞のノミネートも発表されます。
昨夏はトム・クルーズ主演の「トップガン」の34年ぶりとなる続編「トップガン マーヴェリック」が大ヒット。年末にはジェームズ・キャメロン監督の「アバター」(09年)の待望の続編「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」も封切られるなど2022年は大作映画の当たり年でしたが、アジア系移民を主人公にしたSFコメディ「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワン」が独立系映画としては異例の大ヒットになったことも話題を呼びました。
昨年は聴覚障害者が主役の「コーダ あいのうた」が作品賞に輝きましたが、2023年はどんな作品がノミネートされるのか、今年の賞レースで注目を集めている5作品を紹介します。
「トップガン マーヴェリック」
全世界興行収入で2022年の最高収益となる約14億8873万ドルを稼ぎ出す特大ヒットとなった「トップガン マーヴェリック」は、商業的成功はもちろん評論的にも高い評価を受けています。アカデミー賞の伝統ではブロックバスター映画は敬遠されがちですが、作品の出来栄えの高さは誰もが知るところで、ノミネートされる可能性は高いと見られています。クルーズはゴールデングローブ賞では候補入りを逃していますが、「マグノリア」(99年)で助演男優賞にノミネートされて以来22年ぶりのアカデミー賞ノミネーションが期待されています。
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
ミッシェル・ヨーを主演に迎え、多次元宇宙(マルチバース)とカンフーを融合した異色の異次元アクションは、昨年3月に北米公開されるや否や映画ファンの間で大きな話題となりました。すでにロサンゼルス批評家賞作品賞やワシントン批評家賞作品賞などを受賞しており、アカデミー賞でも作品賞ノミネートが確実視されています。ヨーは主演女優賞へのノミネートも期待されており、アジア系女性として88年ぶりとなるノミネートの快挙となるか注目されます。
「フェイブルマンズ」
スティーブン・スピルバーグ監督が、自身の子ども時代に基づくストーリーを映画化した自伝的な本作は、トロント国際映画祭で最高賞に当たる観客賞を受賞しています。両親に連れられて行った映画館で初めて観た映画に夢中になる少年の成長、両親との葛藤や絆、映画への愛が描かれた作品で、スピルバーグ監督自身も昨年の「ウエスト・サイド・ストーリー」に続いて2年連続となる監督賞へのノミネートが期待されています。また、母親役を演じたミシェル・ウィリアムズの演技も高い評価を受けており、主演女優賞候補に名を連ねることが確実視されています。
「イニシェリン島の精霊」
本土が内戦に揺れる1923年のアイルランドの孤島イニシェリン島を舞台に、親友同士の絶縁騒動を描いた本作は、18年のアカデミー賞で作品賞にノミネートされた「スリー・ビルボ-ド」で知られるマーティン・マクドナー監督がメガホンを取っています。ベネチア国際映画祭コンペティション部門では、主演のコリン・ファレルが最優秀男優賞に輝いたほか、最優秀脚本賞も獲得しています。ファレルの主演男優賞ノミネートは間違いないと見られ、マクドナー監督の監督賞候補入りにも期待が持たれています。
「RRR」
1920年の英国植民地時代のインドを舞台に2人の英雄を描いたアクションエンターテイメントは、野生の動物たちとのバトルや大自然の中で繰り広げられるアクションの数々が話題となり、インド映画ながらアメリカでも大ヒット。一昨年は「ドライブマイカー」が外国語映画ながら作品賞にノミネートされて大きな話題となりましたが、本作も作品賞、S・S・ラージャマウリ監督の監督賞、さらに脚本賞も狙える位置におり、作品賞を含むオスカー4冠を達成した「パラサイト 半地下の家族」(19年)に続く快挙となるか注目されています。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)





